「ディーゼルこそ至高」 量産化に至らなかった500psのアウディ『R8 V12 TDI』を振り返る【UK歴史アーカイブ】
公開 : 2026.03.28 11:45
時代の証人? 唯一実現した大型SUV
わずか数か月の間に、これら3台のクルマが次々と発表され、アウディの意思を明確に示した。つまり、ディーゼルエンジンが同社の高性能車ラインナップにおいて重要な役割を担っていくということだ。しかし、技術的な問題か、あるいはニーズへの不安か、A3 TDIクラブスポーツはプレス用の写真にとどまった。その代わりに、アウディは2010年に5気筒ガソリンエンジンのRS3を投入した。
R8 V12 TDIも、大々的な宣伝にもかかわらず、同様に実現することはなかった。量産化が約束されていたが、代わりにR8のラインナップの頂点に立ったのはV10ガソリン仕様だった。市販導入の望みはまだ残されていたかもしれないが、言わずもがな、2015年のフォルクスワーゲンのスキャンダルによってその構想は完全に潰えてしまった。

その後、『S4』、『SQ5』、『SQ7 TDI』など、スポーティなディーゼル車が時折ラインナップに加わることはあった。しかし、2008年に発表されたあのフラッグシップモデルほど興味深いものは現れず、今日に至るまで、アウディの高性能車は依然としてガソリンを燃やし続けている。
つまり、この波乱に満ちた時代を生き残ったのは、2008年から2012年にかけて限定生産されたQ7 V12 TDIだけなのだ。現存する車両は非常に希少である。その理由は、当初の新車価格が9万6295ポンド(現在の価値で16万ポンド=約3400万円相当)だったこと、そして維持費が莫大で、購入直後の価値下落が凄まじかったことにある。
しかし、ごく短期間において、アウディにとってディーゼルエンジンこそが至高のパフォーマンスの象徴であったという事実を今に伝えるものと言えるだろう。















