安価仕様で巻き返し テスラ・モデルY ロングレンジRWD(1) 広い荷室も強み バッテリーは65.0kWhから

公開 : 2026.03.27 18:05

販売の巻き返しを図るべくモデルYが小改良され、廉価版のRWD登場。モニター中心のシンプル車内は万人受けしにくいものの、動力性能に不満なく、乗り心地は改善しました。UK編集部が評価します。

安価なベーシック仕様の投入で巻き返し

欧州で好調に売れてきたテスラの中型SUV、モデルY。近年は人気に陰りが見えるが、2025年に安価なベーシック仕様が投入され、巻き返しが図られている。装備と性能の再考で、英国では保険料の削減を叶えつつ、数年後の残価額を上昇させている。

加えて、同年には大幅なアップデートも受けている。サイバートラック風のヘッドライトを得るなど、「ジュニパー」仕様としてスタイリングも更新された。価格を下げつつ、内容を強化するという、2本の柱による大胆な戦略が取られたといえる。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)

モデルYの競合モデルは、数年前の比ではないほど増えている。その多くは、最新のバッテリーEV用プラットフォームを採用し、航続距離や急速充電で肩を並べる。今回はお手頃なベースグレードのRWDで、仕上がりを確かめてみよう。

駆動用バッテリーは非公表だが、テスラへ確認したところ廉価版のRWDは65.0kWhで、試乗したロングレンジは78.0kWh。後輪駆動で駆動用モーターはリアに載り、最高出力は300psと予想される。ツインモーター版と異なり、ブーストモードはない。

洗練度が増したスタイリング 軽めの車重

ボディは、曲線的なシルエットは変わらないが、小変更で洗練度は増した。滑らかな前後のバンパーは空気抵抗を減らし、テールライトも新しく、リップスポイラーを追加。スリムなヘッドライトは、廉価版では中央のライトバーが省かれ差別化される。

ボディサイズは若干拡大。全長4790mm、全幅1920mm、全高1624mmで、幅が広め。ホイールベースは変わらず2890mmだが、長い側にあり、優れたパッケージングに貢献する。鋳造部品を見直し、軽量化しつつ、ボディ剛性は3%増している。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)

前がダブルウイッシュボーン、後ろがマルチリンクとなるサスペンションは、上位グレードの「プレミアム」ではないロングレンジRWDでは、前後ともコイルスプリングに周波数感応ダンパーという組合せ。2025年の改良で、若干ソフトに調整されたという。

ロングレンジの駆動用バッテリーは小さくないが、試乗車の車重は1923kgと、ひと回り小さいアウディQ4 e-トロンなどより約200kgも軽い。前後の重量配分は、47:53だ。

万人受けしにくいモニター中心のシンプル車内

シンプルなインテリアは、従来どおり。全体的な統一感は高いが、ダッシュボードまわりに物理スイッチはない。万人受けする空間とはいえないものの、小変更で素材は上質感が増し、間接照明が仕込まれ、センターコンソールも一新された。

中央のタッチモニターは15.0インチ。表示は鮮明で素早く反応し、主な機能へワンタップでアクセスできる。ただし、アイコンやメニューが小さく、運転中の操作は難しい。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)

アップル・カープレイやアンドロイド・オートには非対応だが、スポティファイやアップル・ミュージックなどは利用できる。標準装備となる運転支援システム、オートパイロットの設定もタッチモニターを介するが、アイコンが常時表示され操作は簡単だ。

ドライバー正面に、メーター用モニターがないことも変わらない。前方視界は広いが、スピードを確かめるのに、タッチモニターの隅を見る必要があるのは不便だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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