シビック・タイプR級の加速力 テスラ・モデルY ロングレンジRWD(2) 乗り心地は大改善 廉価版の実航続450km

公開 : 2026.03.27 18:10

販売の巻き返しを図るべくモデルYが小改良され、廉価版のRWD登場。モニター中心のシンプル車内は万人受けしにくいものの、動力性能に不満なく、乗り心地は改善しました。UK編集部が評価します。

ベースグレードのRWDでも不満ない動力性能

テスラモデルYには、物理スイッチやメーター用モニターがなく、馴染みにくいことは事実だろう。ウインカーレバーやヘッドライトスイッチは備わり、ステアリングコラムも手動で調整できるが、ドアミラーもエアコンも、タッチモニターへ触れることになる。

とはいえ、動力性能に不満はない。ベースグレードのRWDでも0-100km/h加速を5.7秒でこなし、約50km/hから110km/hまでの中間加速は4.3秒で、先代のホンダシビック・タイプRへ並ぶ。上位グレードほどの勢いはなくても、日常的に不満はないはず。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)

アクセルペダルの反応も好ましく、チル・モードならかなりマイルド。デフォルトでもレスポンスは妥当といえ、EVらしくシームレスな速度上昇を楽しめる。

他方、回生ブレーキの効きを調整するパドルなどは備わらず、タッチモニターで変えるしかないのは惜しい。通常はワンペダル・モードへ近いほど強力だが、完全に停止できるわけではない。一番弱くしても、スルスル惰性走行できるわけでもない。

硬めの乗り心地は従来から大幅に改善

ブレーキはバイワイヤ制御になり、回生ブレーキと摩擦ブレーキがクロスフェードし、ペダルの反応は従来より滑らか。競合のバッテリーEVへ近い、減速感を得ている。

乗り心地は、小改良で大幅に改善。常時スポーツ・モードのような硬さはなくなった。低速域での揺れは解消され、高速道路での安定性も向上している。プレミアム・グレードではない廉価版の場合、更に滑らかなようでもある。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)

ただし、まだライバルより硬めなことは事実で、よりリラックスして乗れるクロスオーバーへ仕立てても良いだろう。ホイールは20インチではなく、エアロディスクが付く19インチをオススメしたい。タイヤが肉厚になり、しなやかさを担保してくれる。

ステアリングは、ロックトゥロックが2.0回転から2.4回転へスローに。その結果、より直感的に導けるようになっている。切り始めの反応は少し敏感で、人工的な重み付けは変わらず、クルマとの一体感を高めるチューニングではないとしても。

シャシーの能力自体は高い 実際の航続は約450km

カーブでの姿勢制御は、ボディロールの立ち上がりが早め。不安定さはなく、重心移動も早いといえるが、カーブが連続する区間を流暢にこなせる設定とはいいにくい。ステアリングとのシンクロ感も、もう少し高められる。

他方、シャシーの能力自体は高い。テストコースで限界へ迫っても、ベースグレードのロングレンジRWDはアンダーステアに堪え、グリップを使い切りながらラインを保てていた。スタビリティ・コントロールの制御は積極的だが。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD (英国仕様)

電費は、試乗時の平均で6.4km/kWhと優秀。現実的な航続距離は、約450kmと考えて良い。急速充電は最高250kWが主張されるが、実際に試したところ平均で115kW。遮音性は優秀で、試乗車の場合、110km/hでの走行時は65dBAだ。

高度な運転支援システムが実装されるが、アダプティブ・クルーズコントロールは、車線変更するたびに解除される様子。駐車場ではDからRへ、あるいはその逆に、自動的に切り替わる場合がある。だが、意図とは違う選択をされることもある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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