約20年前の名作、『CMC』のフェラーリ250GT SWB【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第16回】

公開 : 2026.02.25 12:05

元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーに関する月イチのコラムです。第16回は、1995年に創業されたドイツのミニカーブランド『CMC』がテーマです。

趣味的感性がシンクロしなくなってきた

昨今の実車趣味世界では、オーバーフェンダーを纏った派手なチューニングカーなど、日本発の改造車カルチャーがアジア圏を中心に大人気。相対的にメーカーのリリースする、お行儀の良い優等生といった印象のカタログモデルの影は薄いように感じます。

そんな実車趣味界の空気を反映するように、ミニカーの世界でもチューニング&カスタムカージャンルの新製品が数多くリリースされるようになりました。

今回のテーマは、ドイツのミニカーブランド『CMC』です(広告にご注目)。
今回のテーマは、ドイツのミニカーブランド『CMC』です(広告にご注目)。    長尾循

かつては正調ヒストリックカーや歴史的なレーシングマシンなどを得意としていたミニカーメーカーの多くも、今ではノーマルなカタログモデルではなく、チューニング&カスタムカーをそのラインナップに加えるようになっています。

もちろん自動車(とそのミニチュアモデル)にも流行り廃りのムーブメントがあるのは当然でしょうから、そのこと自体に是非はありません。ただただ、世の中の流行と自分の趣味的な感性がシンクロしなくなってきたなぁ、と思うのみであります。

1995年に創業されたドイツのミニカーブランド

さて、ドイツの『CMC』というミニカーブランドがあります。もともと測量技師だったヘルベルト・ニッカールさんとシュシャオ・ジアさん夫妻の手によって1995年に創業されました。

現在ではその開発に3Dスキャンなど最新の技術が用いられていますが、創立当初はヘルベルトさん自らが手書きの図面をひいていたそうです。社名の由来は『クラシック・モデル・カーズ(Classic Model Cars)』の頭文字から。その名のとおり、創立当初から現在に至るまで、同社がリリースするミニチュアモデルは一貫して、戦前から1960年代にかけてのレーシングカーやスポーツカーがほとんどです。

CMCのポリシーは、栄光の物語をまとったクルマだけを厳選してモデル化するというもの。
CMCのポリシーは、栄光の物語をまとったクルマだけを厳選してモデル化するというもの。    長尾循

同社のポリシーは『世界中のレースやコンクールデレガンスで勝ち取った、栄光の物語をまとったクルマだけを厳選してモデル化する』というもの。世間の流行り廃りとは無縁の孤高ぶりが清々しいですね。そんなCMCのデビュー作となったのが、1/24スケールとなる1930年のメルセデス・ベンツSSKブラック・プリンスです。

ポルシェ博士の設計で知られるメルセデスのSシリーズは、戦前のスーパースポーツカーの中でも突出した存在でしたが、CMCがモデル化したのは、イタリアの裕福なモータリストでありレーシングドライバーでもあったカルロ・フェリーチェ・トロッシ伯爵のオーダーによって作られたスペシャルなボディを纏った1台。

その漆黒のボディからブラック・プリンスの名称で知られる、そんな特別なモデルを第1作に選ぶところからも、CMCの目指す方向性と矜持がうかがえますね。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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