ピュアな運転体験へ没入 グラディエーター 10HP(2) 家族を結びつけるクラシック 「ガソリン車が走り続けられる限り、受け継がれて欲しい」

公開 : 2026.05.10 17:50

現代と同じペダル配置で戸惑いは少ない

筆者が、1900年代前半のクルマへ乗るのは久しぶり。ティミス家が暮らすグレートブリテン島南西部のサマセット州には、今も当時のような風情が残っている。

キャブレーターへ手動でガソリンを送り、イグニッションをオンにしてハンドルを回すと、2気筒アスター・エンジンは始動。ゆったりしたビートで、アイドリングが始まる。

グラディエーター 10HP リア・エントランス・トノー(1902~1903年/英国仕様)
グラディエーター 10HP リア・エントランス・トノー(1902~1903年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

低いダッシュボードを見下ろすように、ベンチシートへ腰を掛ける。ウッドリムのステアリングホイールは、ほぼ水平。加工された、点火系の真鍮製レバーが並ぶ。3枚のペダルの配置は現代のクルマと変わらず、戸惑いは少ない。

ハンドブレーキのレバーと一緒に、右側へ伸びるのがシフトレバー。1番後ろ側がリバースで、ニュートラル、1速から4速へと切り替わっていく。ノッチは角がすり減り、丁寧に傾けないとギアを飛ばしそうになるが、コーンクラッチは滑らかに繋がる。

ピュアな運転体験へ没入できる

加速すると、2気筒エンジンの頼もしいトルクを感じ取れる。変速時には、アイドリング程度まで回転数を落とす必要はあるものの、走りは軽快。ブレーキもこの時代としては有能で、サイドブレーキ・レバーとペダルを同時に操れば、しっかり減速できる。

ステアリングホイールは重めで、ダイレクトな感触が不安を減じる。サスペンションは動きが渋く、凹凸を通過すると安定性が明らかに乱れる。3速と4速は比較的ハイレシオで、40km/h前後を保って長時間走り続けられるという。

グラディエーター 10HP リア・エントランス・トノー(1902~1903年/英国仕様)
グラディエーター 10HP リア・エントランス・トノー(1902~1903年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

確かに、この時代のクルマは荒削りではある。しかし、現代の例とは比べ物にならないほど、運転と機械への集中力が求められる。ピュアな運転体験へ没入できる。

ナイジェルが、祖父のハワードを見つめる。「グラディエーター 10HPは、クルマ以上の存在で、家族を結びつけるものだと気付いたんです。我が家の伝統行事は、ガソリン車が走り続けられる限り、受け継がれて欲しいと願っています」

協力:ティミス家、MPAクリエイティブ社、ジョナサン・ギル氏、ロンドン・ブライトン・ベテランカー・ラン

グラディエーター 10HP リア・エントランス・トノー(1902~1903年/英国仕様)のスペック

英国価格:400ポンド(新車時/予想)/20万ポンド(約4200万円)以下(現在)
生産数:−台
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:48km/h
0-97km/h加速:−秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:750kg
パワートレイン:直列2気筒1703cc 自然吸気 サイドバルブ
使用燃料:ガソリン
最高出力:10ps
最大トルク:-kg-m
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

左からリチャード・ティミス氏と、ナイジェル・ティミス氏
左からリチャード・ティミス氏と、ナイジェル・ティミス氏    マックス・エドレストン(Max Edleston)

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

グラディエーター 10HPの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事