ボルボの新電動フラッグシップSUV『EX90』 ライバルは同門XC90プラグインハイブリッド EVならではの新世界か熟成の旨味か【森口将之が解説】

公開 : 2026.08.17 11:45

電動フラッグシップSUVであることが伝わる

シートは色合い、掛け心地ともに、ボルボそのもの。とにかく安らげる。意外に思えるが、電動テレスコピック/チルト調節はこのブランド初。頭上のガラスルーフは最近広まりつつある、透過率を可変とするタイプだ。3列目の格納が電動で行えるのもボルボでは初めてで、いろいろな部分から電動フラッグシップSUVであることが伝わってくる。

ボルボと言えばの安全性では、乗員リマインダー機能を紹介しておきたい。他社でも装備を始めた置き去り防止機能のことだが、ボルボのそれはセンサーが呼吸をチェックする方式。もし人やペットが確認されたときには、バッテリー容量がある限り、エアコンを回し続けるという機能もあるそうだ。

インテリアは最上級グレードということでナッパレザーがおごられている。
インテリアは最上級グレードということでナッパレザーがおごられている。    平井大介

最初のほうで書いたように、今回乗ったEX90はハイパフォーマンス版で、フロントモーターは最高出力220kW、最大トルク390Nmで、リアモーターは280kW/480Nmとなっている。満充電での航続距離は650kmだ。

車両重量は約2.7tあるが、前後合わせて500kWのパワーは、軽々とそのボディをダッシュさせる。とはいえ流れに乗って走る限りはボルボそのもので、ホイール/タイヤが22インチであるにもかかわらず、エアサスの効果もあって、穏やかな乗り心地だ。

大きく重いボディが自然に旋回

ツインモーターではあるが、おとなしく乗っているときはリア駆動で、フロントはもっぱら回生ブレーキのときに働く。ただしハンドリングをチェックするようなシーンでは、前後が最適な駆動力を発揮し、大きく重いボディを自然に旋回させていく。

ドライブモードはスタンダード、パフォーマンス、オフロードに加えて、航続距離をキープするレンジモードがある。アクセルオフで停止まで持っていけるワンペダルモードは2段階が選べるほか、オートモードがあって、前車がいると自動的に減速してくれた。

センターのディスプレイでは、しばしばスクロールの必要があったことが気になった。
センターのディスプレイでは、しばしばスクロールの必要があったことが気になった。    平井大介

走行中はとても静か。EVで気になりがちなロードノイズも入ってこない。中級グレード以上はすべての窓を合わせガラスとしたことも効いているだろう。となるとオーディオの果たす役割は大きくなる。

試乗車を含めた中級以上のグレードはB&W(バウワース・アンド・ウィルキンス)を装備。アプリの中にはあのビートルズが使ったスタジオと共同開発したという『アビーロードスタジオモード』もあって、一般的なサラウンドとはひと味違う音場環境が作り出せる。

1年前に乗ったXC90が、円熟の旨みを感じるクルマに仕上がっていたのに対し、今回のEX90はこのオーディオを含めて、EVならではの新しい世界を体感させてくれた。価格はXC90のプラグインハイブリッドとほぼ同じ。どちらにするか迷う、という気持ちにさせること自体が、完成度の高さの表れだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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