強烈な怒号で始まる豪快な加速 AMC ランブラー・レベル(2) 現存20台の希少な先駆け 本格的なエアコンも標準装備

公開 : 2026.09.06 17:50

後にマッスルカーと呼ばれる、新ジャンルに属したAMC ランブラー・レベル。他社に先駆けてモノコック構造を採用し、同クラス最速といえたV8サルーンでした。超希少な1台をUK編集部が紹介します。

「安価なだけでなく速いクルマも作れます」

ミドルクラスのサルーンとして、強力な5.4L V8エンジンを他社に先駆けて搭載したAMC ランブラー・レベル。実験的に、燃料インジェクション仕様も用意された。アメリカのベンディックス社が開発した技術で、最高出力は292psまで高められていた。

しかし信頼性に欠け、販売されたのは極少数。この技術は手放され、ドイツのボッシュ社が購入し、皮肉にも成功したDジェトロニック・システムの基盤となっている。

AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)
AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1957年2月、デイトナビーチで競われたデイトナ・スピードウイークへ向けて、AMCが準備したランブラー・レベルは、丸いエアクリーナー・ボックスが載ったキャブレター仕様。自動車ジャーナリスト20名を集めた、ドラッグレース・イベントが設けられた。

モーター・ライフ誌を代表して挑んだケン・ファーモイル氏は、0-400mを17.8秒で走破。モーター・トレンド誌のジョー・ウェリー氏は、177.0km/hの最高速度を残し、「AMCは安価なだけでなく速いクルマも作れます」と伝えている。

まだ珍しかった本格的なエアコンも

とはいえランブラー・レベルは、通常のランブラーより360ドル高い、2786ドル。クラス上のプリマス・フューリーより139ドル安い程度で、V8エンジンのシボレー・ベルエアより明らかに高かった。

そのかわり、装備は充実。塗装はシルバーで統一され、ボディサイドはゴールド・アルマイトのトリムが飾った。ラジオとヒーター、時計、フロントガラス・ウオッシャーが標準。フロントシートは、輝く糸で縫製されたビニールとナイロンが包んだ。

AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)
AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

パッド入りのダッシュボードや、シートベルトはオプション。チャイルドロック機構も指定でき、345ドルを追加すれば、まだ珍しかった本格的なエアコンも実装できた。

今回ご登場願ったランブラー・レベルは、グレートブリテン島南西部、ウィルトシャー州カルネの自動車博物館へ最近まで飾られていた車両。ラインオフ後はアメリカ・カリフォルニア州で過ごし、14年前にレストアを受け、英国へ運ばれている。

開いた窓へ左腕を載せて運転したくなる

現存数は全世界でも約20台と、ランブラー・レベルは超希少。どの程度の馬力が残っているのかは不明だが、70年前のアメリカン・サルーンとは思えないほど、加速は鋭い。

実際、新車時の0-97km/h加速は7.5秒が主張された。同時期のベルエアは8.7秒、フューリーは8.0秒と届かず。クライスラー300Cでも、7.6秒だった。

AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)
AMC ランブラー・レベル(1957年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

スタイリングは、クロームメッキが当時としては抑えられ、テールフィンも控えめで、好ましく感じる人は多いのではないだろうか。スクエアなフォルムで、1950年代のアメリカでも目を引く存在だったと想像できる。サイドミラーも四角い。

フロントシートは幅の広いベンチ。ステアリングホイールは大径で、ホーンリングが内側を巡る。前面に広がるのは、パッド入りのダッシュボード。フロントガラスは湾曲し視界が広く、自然と開いた窓へ左腕を載せて運転したくなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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