確かな血統が生む圧倒的面白さ 三菱パジェロ・エボリューション(2) 21世紀でも普段使いできる、理に適ったクラシックカー【新型登場で話題】

公開 : 2026.09.02 18:10

新型が話題のパリダカで最も成功を収めたオフローダー『三菱パジェロ』。その中で1997年から2693台が製作された希少なエボリューションは、猛獣をねじ伏せるような達成感が醍醐味です。UK編集部が実力へ迫ります。

チェーンソー彫刻のように表現は大胆

今回の三菱パジェロ・エボリューションが履くタイヤは、BFグッドリッチのバハ・チャンピオン。265/75R16と大きく、舗装路を走るには少々大味なシューズといえる。

チェーンソーで削り出す彫刻のように、表現は大胆かもしれない。そのかわり、ドライバーへの刺激は濃厚。繊細さとは無縁でも、運転はすこぶる面白い。

三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)
三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ステアリングの手応えは重く、反応はスローで正確とは表現しにくい。ボディロールは慣れが必要なほど大きく、高速道路の出口にあるような、きついカーブは苦手だろう。

それでも、フロントデフが四角いノーズをカーブの内側へ引き寄せ、旋回時のバランスは印象的なほどニュートラル。アクセルペダルの角度を深めても、姿勢は大きく乱れない。挙動は大げさでも、狙ったラインをトレースでき、安心感が湧いてくる。

猛獣をねじ伏せるような達成感こそ醍醐味

パジェロ・エボが開発された理由は、荒野を高速で走り続けるため。ダンパーも、それを前提に調整されている。ドライブトレインも、耐久性が最優先されている。

指先に伝わる感触を味わいながらの、軽快な運転体験を求めるなら、パジェロ・エボはお門違い。特性を理解し手懐けられた時の、猛獣をねじ伏せたような達成感こそ、この三菱の醍醐味だといっていい。

三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)
三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

カーブ入り口でのブレーキングでは、ノーズダイブが小さくないが、ヒール&トゥでの巧妙な荷重移動で抑えられる。シャープではないステアリングも、充分なフィードバックを手のひらへ伝える。正しく操れば、感心するほど意欲的に身をこなす。

0-97km/h加速は、カタログ上で8.0秒。車重1970kgある1990年代のSUVだと考えれば、動力性能も褒められる水準だといっていい。

エボらしいラリーマシン直系へ打って変わるよう

3.5L V6自然吸気エンジンは、中域で特にエネルギッシュ。それも当然、35.4kg-mの最大トルクは、3000rpmで引き出される。更に6000rpmを超えて、レッドゾーンの7000rpmまで引っ張れば、伸びやかな最高出力のゾーンに魅了される。

パジェロらしくトルク重視のオフローダーから、エボらしくラリーマシンの直系へ、打って変わるよう。そもそも、このDOHC 24バルブユニットはエンジンブロック以外、通常のパジェロと共有する部分はないらしい。

三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)
三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

既存エンジンのチューニングで280psを得たのではなく、パリ・ダカール・ラリーが前提。更に大幅な手が加えられたワークスマシンと、DNAは一致している。筋肉質な見た目通りに。

全長は4075mmと短く、全幅も1875mmで、現代の基準では小柄なホットハッチと遠くない。このコンパクトさが、運転の楽しさを引き上げている。レトロな雰囲気のレカロシートへ座っていると、その事実には気付きにくいが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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