「情熱」は決して消えず 鍵を握るのは演算能力 メルセデス・ベンツCEOが語る、クルマ好きもEVを気に入る理由(後編)
公開 : 2026.09.03 17:10
メルセデス・ベンツを率いるオラ・ケレニウスCEOは、クルマの電動化とデジタル化が進む中でもブランドの核を失うことはないと語っています。同社が現在力を入れていることや、将来の目標について聞きました。
君のクルマのTOPSはどれくらいある?
EVやソフトウェアは、一部の自動車愛好家、特にケレニウス氏がAMG時代にリーチしようとしていた層にとっては、依然として受け入れがたいものだ。では、V8とV12のどちらがいいかを議論しながら育った人々に、改良されたインバーターや高速化したコンピューターチップへの興味を持ってもらうにはどうすればよいのだろうか?
「従来のクルマ好きにとっては、まるで新しい言語を学んでいるような感覚でしょう」と彼は認める。

「でも、本当にそうでしょうか? わたしが大学に通っていた頃は、『君のとてつもなく重いノートパソコンには、386プロセッサか486プロセッサのどちらが搭載されているんだ?』といった話をしていました。技術競争は常にハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして存在してきましたが、今では自動車にもそれが反映されており、こう問うことになるでしょう。『さて、君のTOPS(1秒あたり演算回数、兆単位)はどれくらいある?』」
「なぜTOPSが必要なのかというと、高度な生成AIベースのエンドツーエンドのソフトウェアモデルを駆動するために高い演算能力が必要だからです。それを実行するための『馬力』がなければ、運転支援機能は実現できません。デジタル面の馬力はチップセットによって実現されるのです」
経営陣はすべてのクルマを試乗する
では、メルセデス・ベンツのCEOであるケレニウス氏はどれくらいの時間をTOPSやコンピューターの議論に費やし、どれくらいの時間を新型車の試乗評価に費やしているのだろうか?
「取締役はあらゆるクルマを自ら運転し、評価します。なぜなら、最終的な責任はわたし達にあるからです。しかし、当社の優秀なエンジニアたちは、わたし達よりもその分野の訓練を十分に受けています。彼らの仕事を代わって行うのはわたし達経営陣の役目ではありません。しかし、わたし達もまた顧客の1人です。わたしがクルマをテストする時は、顧客の立場に立ちます。もし6万ユーロ(約1110万円)ほどを払ってこれを買ったとしたら、どう感じるだろうか? 本当に期待通りの性能を発揮しているか? そうして議論するのです」

「シャシーやハンドリングなどの微調整は不可欠です。何しろメルセデスですから。ただ、今はUI(ユーザーインターフェース)やデジタル面にも多くの時間を費やしています」
しかし、今やテクノロジーにばかり注力し、人間的な要素が失われているなどと考えるのは誤りだ。何しろ、メルセデスなのだから。
「これは科学であり、芸術でもあるのです」とケレニウス氏は言う。「シャシーの動きの周波数など、あらゆるものを測定することはできます。しかし、最終的にクルマを承認し、乗り心地や走行性能を決定するのは専門家たちです」






























