メルセデス・ベンツCEOが語る、クルマ好きもEVを気に入る理由(前編) デジタル化と伝統の難しいバランス取り
公開 : 2026.09.03 17:05
メルセデス・ベンツを率いるオラ・ケレニウスCEOは、クルマの電動化とデジタル化が進む中でもブランドの精神を失うことはないと語っています。同社が現在力を入れていることや、将来の目標について聞きました。
Cクラス・エレクトリックに同乗取材
メルセデス・ベンツのCEO、オラ・ケレニウス氏が新型『Cクラス・エレクトリック』を誇りに思っていることは明らかだ。ドイツのシュトゥットガルトからフィンランドのヘルシンキまで足を運び、発表イベントに顔を出し、記者団からの質問に20分間応じた後、筆者をフィンランドの田園地帯へ45分間のプライベートドライブに連れて行ってくれた。
驚くほど静かな車内で、ケレニウス氏は「静かで心地よく、まるでEクラスのようです」と語った。「今は80km/hですが、もしアウトバーンで200km/hで走っていたとしても、同じような感覚が得られるでしょう」

その瞬間、ケレニウス氏の言葉は遮られた。筆者が掘り下げた質問をしたからではなく、Cクラスが口を挟んだのだ。「アウトバーンで高速走行する感覚は、実に爽快です」と。
インタビュー中に車両が言葉を発するというのはなんともシュールな光景だが、これはメルセデス・ベンツが現在進めている変革の象徴と言えるだろう。同社は車両に膨大なデジタル機能を追加しつつ、140年にわたり培ってきた伝統的なプレミアムブランドの強みを維持しようとしているのだ。
内燃機関のニーズにも対応できる
第1世代のEVでは、内燃機関搭載の『Eクラス』と並行して『EQE』を販売するなど、2つの路線を展開していた。しかし、新型Cクラスとそのきょうだい車『GLC』は、パワートレインを複数用意するという点で明確な転換点となっている。もっとも、内燃機関車とEVは異なるプラットフォームで生産されているが。
ケレニウス氏は次のように語っている。

「最初のEVモデルを通じて、当ブランドに新規のお客様を迎え入れました。彼らはおそらく、人生の後半になってからメルセデスを愛するようになったのでしょう。今では、従来のメルセデスのお客様もこの流れに乗ってきています。しかし、もし彼らが依然としてハイテクな内燃機関を望むなら、それも対応可能です。何も問題はありません。お客様は自身の都合に合わせて、いつ(EVへ)切り替えるかを決められるのです」
新しいEV用プラットフォーム「MMA」と「MB.EA」(それぞれ新型CLAおよびGLA、新型CクラスおよびGLCに採用)の導入により、新型EVの急速な展開が始まった。同時に、内燃機関搭載モデルとのバランスを保つための大幅な改良も行われている。メルセデス・ベンツは2027年末までに3年間で40車種を投入する計画だが、業界の巨人であっても、これは途方もない事業だ。

























