【休日クラシック・ポルシェ・アーカイブ #34】1984年ポルシェ911SC RS 3.0(前編)「モータースポーツ用途のベースモデルとして製作」
公開 : 2026.08.23 09:11
世界的な人気モデルとして支持され、サーキットでも数えきれぬ栄光の記録を刻んできたポルシェ。日曜日の午前9時11分に公開する、そんなポルシェの足跡を膨大なアーカイブと共に振り返る連載です。#34は『1984年ポルシェ911SC RS 3.0』の前編です。
1984年ポルシェ911SC RS 3.0
ポルシェ社は911SC発表後、1978年の世界ラリー選手権(WRC)にワークスチームで挑むことを決定する。
第3戦の『東アフリカ・サファリ・ラリー』に、ワークスチームのマルティニ・レーシングから、グループ4のラリー仕様に仕立てられたポルシェ911SCが2台送り込まれた。

ポルシェ
1台は地元ケニアのプレストン・ビッグ・ジュニア/リアル・ジョン組、もう1台はベテランのビヨルン・ワルデガルド/ハンス・トーゼリウスに託された。トップを快走していたプレストン組だが、トラブルに見舞われ最終的に総合2位でフィニッシュ。ワルデガルド組は4位と、911SCが有するポテンシャルの高さを立証してみせた。
しかし、ワークス参戦はこれだけで終わり、その後はプライベーターが様々なラリーに挑み、数多くの勝利や入賞を果たす。
中でも1978年のモンテカルロ・ラリーを制したフランスのアルメラ・チームは、自ら開発した911SCグループ4仕様で大活躍した。
ロスマンズとのジョイントにより作成
1983年、ポルシェは新型ラリー競技車両『911SC RS 3.0』(社内型式954)発表する。
リリースには「911SCをベースに、公道走行可能な競技車両を開発する。この車両はモータースポーツ用途のベースモデルとして製作した」と記されている。

ポルシェ911SCはすでにグループBの公認を取得しており、911SC RS 3.0はそのエボリューションモデルとして21台が製作された。
このモデルが誕生した背景には、スポンサーとなったロスマンズの存在があった。
1970年代後半にラリーチームのスポンサー活動を開始したロスマンズ・インターナショナルは、モータースポーツ界で大きな注目を集めることになる。1982年になるとこの英国のタバコメーカーは、ポルシェとタイトルスポンサー契約を締結。これにより、ポルシェの新型グループCカー『956』がロスマンズ・カラーを纏って、現在のWECに至る世界耐久選手権(WSC)に参戦することになったのである。
ポルシェ956は、1982年と1983年にドライバーズ・タイトルとマニュファクチャラーズ・タイトルの両方で連覇を達成し、ロスマンズとの提携は大成功を収める。
伝統のレーシングモデル『RS』の名が
世界ラリー選手権(WRC)においてロスマンズは、フォードやオペルのスポンサーをしていたが、戦闘力を失いつつあった。そこでロスマンズは1984年シーズンからポルシェとジョイントして、WRCとヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)に加え、選手権をサポートしていた中東ラリー選手権に参戦するすることを決定する。
当初の予定では、AWD(全輪駆動)で500ps超を発揮するツインターボエンジンを備えたポルシェ959であれば、ランチア、プジョー、アウディ、フォードといったライバル勢に対して、強力な対抗馬となり得るはずだった。しかし、959の開発は遅れが生じており完成の目処が立たなかった。
そこで浮上したのが、911SCをベースとした後輪2輪駆動のラリーカー。911ターボのワイドボディに、これまでラリーで実績のある3リッターエンジンを組み合わせたものだった。
こうして誕生したのが911SC RS 3.0(社内型式954)で、伝統のレーシングモデルを意味する栄光の『RS』の名が与えられた。
*1984年ポルシェ911SC RS 3.0(後編)は次週8月30日に公開予定です。
(当連載は、基本的に日曜日の午前9時11分に公開しています)


