スズキ・スペーシア・カスタム

公開 : 2015.06.23 23:30  更新 : 2022.12.12 21:29

メッキ・グリルで迫力を増したカスタムは、やさしげなママの顔のスペーシアより30万円ほどお高い。オプションを全部足すと、車両価格は1,844,640円になる。マイルド・ヤンキーというライフ・スタイルも出費がかさむ。

室内は驚くほど広い。インパネ、インテリアは真っ黒けなので、ほのぐらい感じがする。なのに天井はとんでもなく遠くにある。フロント・スクリーンもとんでもなく遠くにある。おまけに直立している。背が高いので、フツウのクルマのガラス2枚分が必要、と思われる。値段が高いわけである。

眼前にはリッパな速度計と回転計がある。それが妖しげなネオンブルーに輝く。

スポーティな3本スポークのステアリングを握り、いざスタートすると、乗り心地はよくも悪くもなく、ものすごく遅いということもない。

プラットフォームは新型アルト以前の旧型ながら、車重は880kgにおさまっている。ダイハツタントより50kgは軽い。高速道路を1区間だけ走ったけれど、なんとかまっすぐ走る。

走ってどうこう申し上げる類いのクルマではないことは見た目通りなのだけれど、一応ちゃんと走る。運転の歓びというものはここにはない。そのかわり、日常生活の冒険がある。

後ろには、金髪のママと子どもたちがラッパー風のTシャツを着て座っているかもしれない。もちろんパパも金髪で、一見コワモテ風だけれど、じつはパパは近所の少年野球チームのコーチをしていたりして、クルマは好きだけれど、いまは家族の方が大切だ思っている……そんな想像をめぐらせるのは私だけでしょうか。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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