小さな『フィアット・パンダ』、パンディーナにアウトビアンキの車名が復活 先代ランチア・イプシロンの精神的後継車【日本版編集長コラム #105】

公開 : 2026.10.25 12:05

パンディーナは欧州Aセグメントのベストセラーに

パンディーナの話に戻ると、かつてパンダ・クロスと呼ばれていたクロカンテイストの強い仕様しか広報写真には登場しないので、全車がそうなのかと思いきや、実は普通のスタイルである『ポップ』と『アイコン』もラインナップしている。エンジンは全て65psの1L直列3気筒マイルドハイブリッド。トランスミッションは6速MTのみだ。

グレードを整理すると以下のようになる。

イタリア本国のフィアット公式ホームページのコンフィギュレーションでは、クロス・ボディ以外も確認できた。ちなみに10月末までセール中で、文中の価格(定価)よりも安くなっている。
イタリア本国のフィアット公式ホームページのコンフィギュレーションでは、クロス・ボディ以外も確認できた。ちなみに10月末までセール中で、文中の価格(定価)よりも安くなっている。    ステランティス

*標準ボディ
・ポップ(イタリア価格1万5950ユーロ=約279万円)
・アイコン(同1万6950ユーロ=約296万円)
*クロス・ボディ
・クロス(同1万9250ユーロ==約337万円)
・トリブート・アウトビアンキ(同2万250ユーロ=約354万円)

為替レートが執筆時点で1ユーロ=約175円とよくないので日本円を見ると高く感じるが、現地では手頃の価格なのだろう。パンディーナは2026年の9ヵ月間で前年同期比7%増となる10万台を販売し、欧州Aセグメントのベストセラーモデルとなった。

イタリアでも前年同期比5%増となる8万6000台を販売し、これもAセグメントベストセラーに。9月単月では1万401台で、イタリア市場のシェアは7.5%となる。

ランチアのBカラーを思わせる2トーン

今回登場したトリブート・アウトビアンキの特徴はまず、新色『プラティーノ』を選べることで、ルーフとテールゲートをブラックにした2トーンカラーも用意する。この2トーンこそが、ランチアで『Bカラー』と呼ばれてきたもので、筆者のイプシロンもオレンジとブラックのBカラーだ。

他にも15インチのダイヤモンドカットアルミホイール、ライトサンドカラーのマイクロファイバーシート、プラティーノ塗装のダッシュボードパネルなどが特徴で、ボディサイド、シート、ホイールキャップ、ディスプレイなどに、往年のアウトビアンキ・ロゴが確認できる。

プラティーノ塗装のダッシュボードパネルにセンスを感じる内装。左ハンドルのマニュアル……!
プラティーノ塗装のダッシュボードパネルにセンスを感じる内装。左ハンドルのマニュアル……!    ステランティス

ちなみに広報写真で登場する女性との2ショットもY10の時代から見られるもので、Y10の時は有線の自動車電話が使われていた(前項の写真参照)。こうした組み合わせは2015年のイプシロン30周年限定車でも見受けられる。

というわけでそんな素敵な女性とはかけ離れた東洋人/53歳/男性である筆者だが、いわば自分の所有するイプシロンの精神的後継車とも言える、このフィアット・パンディーナ・トリブート・アウトビアンキをすっかり気に入ってしまったわけだ。これまでイタリア車+左ハンドル+マニュアルしか購入したことがないのは何度か書いてきたが、このアウトビアンキもこの条件とまさに合致する。

問題は正規輸入される可能性が限りなくゼロであること。しかも2028年以降も販売されるかは流動的で、恐らくはこのままだと何かしらの規制をクリアできないのではないかと思っている。つまり日本で購入のチャンスは限りなく少ないわけだ。

……というように発表以来ずっと気になってしまい、いったん言語化して落ち着かせようと思った次第。最後までお付き合い頂きありがとうございました。次回こそは、CX-30の続きを書きます。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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