フィアット500 0.9ツインエア

公開 : 2015.07.16 23:50  更新 : 2017.05.29 18:51

■どんな感じ?

いきなり厳しい言い方をするが、現時点でのベスト・シティ・カーは500ではなく、フォルクスワーゲンUp!セアトスコダの兄弟モデルである。

シティ・カーとしての能力に加えて、運転する楽しさや動力性能の高さが、上記ライバルがトップに君臨する理由である。

500の場合、静止状態から目一杯アクセルを踏み込んでみると、ステアリングの重みが速度に依存する傾向がある。またステアリングを介すフィードバックの量も希薄である。

反面、ダッシュボード上の ‘シティ・ステアリング’ ボタンを押せば、ステアリングはとても軽くなる。狭く、曲がり角の多い市街地では楽に運転できる点が魅力だ。

フロント・タイヤのグリップに限界が訪れるのは殊のほか速い。また、Up!などの主要ライバルに比べるとボディは左右にリーンしやすい。

まぁ、このクルマを買う層を考えると、大きな問題ではないのかもしれないが。

今回のテストの舞台はイタリアの比較的劣悪な路上であったが、そういった状況を加味しても、500の乗り心地は、はっきり言ってプアー。速度抑制用のバンプを踏むと、おっと声がでるほど車体は上下に揺さぶられ、ゴツンという音も無視できないレベルにある。道路のジョイントを踏んだ際の不快感も然り、である。

これに対して、速度をあげていくと、車体はスッと落ち着く印象である。

もっとも売れるであろうエンジンは1.2ℓのはずだが、こちらはかなりアクセルを踏まないかぎり、なかなか前に進んでくれようとしない。一方のテスト対象である0.9ℓのエンジンは、最高出力が85psであるにもかかわらず、体感的にとても速く感じる。5速MTとの相性もいい。

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