先代「X5 M」へ肉薄!な加速力 BMW X5 xドライブ50eへ試乗(2) ガソリンを燃やさず通勤可

公開 : 2024.02.25 19:06

登場から四半世紀が過ぎたX5 4代目のG05型がアップデート プラグインHVのバッテリーは25.7kWhへ拡大 システム総合で489ps 英国編集部が評価

ガソリンを燃やさず殆どの通勤をこなせる

BMW X5 xドライブ50eが搭載する、プラグイン・ハイブリッドの実力だが、試乗日は氷点下に迫る寒さだったものの、満充電の駆動用バッテリーで82kmも走行できた。殆どのオーナーは、ガソリンを燃やすことなく、毎日の通勤をこなせるはず。

ハイブリッド・モードでは、駆動用バッテリーとモーターが優先的に働く。直列6気筒エンジンが始動する場面は少なく、バトンタッチもシームレス。メーター用モニターの表示が、ブルーからホワイトへ変わることで、気付く程度だ。

BMW X5 xドライブ50e Mスポーツ(英国仕様)
BMW X5 xドライブ50e Mスポーツ(英国仕様)

196psを発揮する駆動用モーターは充分力強く、これ単体で0-100km/h加速を約10秒でこなしてしまう。流れの速い高速道路への合流にも、問題なく対応できる。

システム総合の489psを解き放つと、xドライブ50eは間違いなく速い。冷えて濡れた路面で、0-100km/h加速を4.7秒で処理してみせた。これは、先代のX5 Mに肉薄する数字。48km/hから112km/hへの中間加速も、僅か5.3秒だ。

3.0L直列6気筒ターボエンジンは、高負荷時にやや気張ったようなザラついたノイズが聞こえてくる。それでも、このクラスではサウンドに優れる。

駆動用バッテリーの充電量が足りなくなると、僅かに動力性能と上質さに陰りが出るが、影響は限定的。8ATの変速が少しスムーズではなくなり、エンジン音が若干大きくなる。むしろ、この方がクルマらしいと感じるドライバーもいるだろう。

操縦性が改善 想像以上に運転を楽しめる

ブレーキペダルの感触も素晴らしい。制動力を調整しやすく、4ポッドキャリパーが大きなディスクをしっかり挟み、巨体を確実に止めてくれる。

少し気になったのが、アクセルペダルを緩めた回生ブレーキの制御。ナビゲーションやセンサーの情報をもとに、回生ブレーキの効きが自動的に調整されるのだが、稀に反応が遅いことがあった。殆どの場面で、好ましく動いていたが。

BMW X5 xドライブ50e Mスポーツ(英国仕様)
BMW X5 xドライブ50e Mスポーツ(英国仕様)

エアサスペンションが支えるxドライブ50eの乗り心地は、レンジローバーほどしなやかではないものの、適度に引き締まり快適。アップデートでの変化は小さいようだが、しっかり姿勢制御され、不自然な緩さを感じることはない。

隆起部分などを通過した際の、キャビンとの隔離性も素晴らしい。21インチのランフラット・タイヤを履いていても。

操縦性は大幅に改善した。スポーツ・モードでは、カーブが連続するルートで想像以上に運転を楽しめる。常に、大きさと重さを意識するけれど。

ステアリングホイールへ伝わるフィードバックは限られるが、適度な重みで安心感は高い。反応は正確。直感的で意欲的にフロントノーズを操れる。

コーナリング中のボディはフラットに保たれ、乾燥した路面なら、急なアクセルオフでもニュートラルなライン取りは乱れない。雨の日には、リアアクスル手動の特徴を僅かに感じ取れる。

車内のノイズレベルは、110km/hの走行時で68dBA。コンクリート舗装では、やや大きめに共鳴音が響くことがあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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