BMW初のFCEV 次期『X5』に水素燃料電池車、2028年発売へ 航続距離は500km超か

公開 : 2025.09.24 06:45

BMWは2028年、水素燃料電池車(FCEV)の『iX5ハイドロジェン』を導入すると発表しました。次期X5はガソリン、ディーゼル、PHEV、BEV、そしてFCEVの計5種類のパワートレイン展開となります。

次期型はパワートレイン5種類

BMWは、2028年に市場投入予定の水素燃料電池車『iX5ハイドロジェン(iX5 Hydrogen)』のプロトタイプを初めて発表した。

これにより、来年発売予定の5代目X5は、ガソリン、ディーゼル、PHEV、バッテリーEV、FCEVと、BMW史上最も幅広いパワートレインラインナップを展開することになる。

新型iX5ハイドロジェンのプロトタイプ
新型iX5ハイドロジェンのプロトタイプ    BMW

名称としては、EVと同じ『iX5』に、水素自動車であることを示す『ハイドロジェン』を組み合わせた。

「5種類のパワートレインでX5を投入することは、世界中の多様な顧客ニーズに応える当社の決意を示すものです」と、BMWの研究開発責任者であるヨアヒム・ポスト氏は述べた。

プロトタイプには厳重なカモフラージュが施されているものの、新型iX3で初導入されたノイエ・クラッセデザインの採用を窺わせる。

2023年に公開されたiX5ハイドロジェンのテスト車両を発展させ、トヨタと共同開発した第3世代の燃料電池スタックを採用。現行スタックより約25%小型化しながら、出力密度と効率を向上させている。このシステムには『BMWエナジーマスター』と称される新開発の高電圧制御ユニットが統合される。

主要部品の生産は2028年、オーストリアのシュタイアーの工場とドイツのランツフートの自社工場で開始予定だ。

性能目標はまだ明らかにされていないが、BMWは2023年のテスト車両の性能を上回ると述べた。同テスト車両は最高出力190psのスタックと300psのリアモーターを組み合わせ、合計出力401ps、航続距離約500kmを実現していた。

新型X5の詳細は未発表だが、iX3に採用されたノイエ・クラッセ・プラットフォームではなく、実績あるクラスター・アーキテクチャ(CLAR)の改良版を採用する見込みだ。

車内には、フルワイドのヘッドアップディスプレイと17.9インチのインフォテインメント・スクリーンが搭載されている。BMWは長年使用してきたiドライブのロータリーコントローラーを段階的に廃止し、タッチ操作と音声操作へ移行する方針で、新型X5でもそうしたレイアウトとなるようだ。

iX5ハイドロジェンは、BMW初の市販FCEVとなる。水素自動車としては2005年発表のハイドロジェン7もあるが、これはE65型7シリーズを改造したもので、ガソリンと水素を燃焼する6.0L V12エンジンを搭載していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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