ジャガーMD独占インタビュー「変化の必要性を説明できていなかった」 次世代EV『タイプ00』来夏量産型デビュー 

公開 : 2025.12.20 07:05

次世代EV発表を来夏に控えるジャガーのマネージング・ディレクター(MD)、ロードン・グローバー氏に独占インタビューを行い、新型車の価格帯やディーラー戦略、車名など、今後の展望について訊きました。

再生目指すジャガーのブランド戦略

ジャガーのマネージング・ディレクター(MD)であるロードン・グローバー氏は、同ブランドを再生へと導く使命を担っている。しかし、その道のりは決して平坦ではない。

AUTOCAR英国編集部は最高出力1000psを超えるジャガーの次世代EVを試乗した後、グローバー氏に独占インタビューを行い、今後の展望について訊いた。

次世代EVコンセプト『タイプ00』
次世代EVコンセプト『タイプ00』    ジャガー

ロードン・グローバー氏独占インタビュー

この次世代モデルの第一弾は完成したのでしょうか?

「ほぼ完成です。今回試乗していただいたのはプロトタイプですが、現在は完成車プロトタイプを約150台製作し、空力試験、衝突安全試験、走行性能試験など必要なテストを実施中です。開発は順調に進んでいます」

新型ジャガーの走行特性をどう定義しますか?

「ダイナミックな特性に大変興奮しています。過去の名車を徹底的に検証し、最高の走行特性を抽出しました。余裕のあるパワー、高速走行時の快適性、洗練性、そして純粋なスポーツカーではないながらもドライバーを魅了するクオリティなど、さまざまな要素を備えています。このクルマは『GT』と表現するのが適切だと考えています」

これから新しい発表フェーズが始まりますね。発表はどのように進められるのですか?

今回インタビューに応じたジャガーのマネージング・ディレクター(MD)、ロードン・グローバー氏
今回インタビューに応じたジャガーのマネージング・ディレクター(MD)、ロードン・グローバー氏

「量産モデルの発表は来夏ですが、それまでにさまざまな準備イベントを実施します。納車は年末頃から開始予定です」

価格帯についてはいかがでしょうか?

「プレミアムカークラスと、ラグジュアリークラスであるベントレーロールス・ロイスとの間には大きな価格差があります。ジャガーはそのギャップを狙っているのです」

ジャガーは再び自社の伝統を見出したようですね。今後、それをどう活かしていく予定ですか?

「伝統の継承については多くの議論を交わしてきました。やはり、過去は重要です。ジャガーは創立90周年を迎えましたが、過去の繰り返しを望まないということを十分に説明できていなかったかもしれません。それはジャガーのDNAにないのです。EタイプからXJSへの進化を見てください。『タイプ00』コンセプトを初公開してから1年、わたしが学んだ重要な教訓の1つは、ジャガーが変わらなければならなかった理由を十分に説明してこなかったということです。理由を明確に示せば、人々は理解してくれるはずです」

ジャガーのディーラー数を大幅に削減するとのことですが、具体的には何店舗になるのでしょうか?

「英国国内では、地域により異なりますが、従来の約20%の店舗数となります。以前は100店舗近くありましたが、ジャガーが目指す少数販売と高価格帯では、ディーラーを多数抱えるべきではないと考えています」

車名はいつ発表されますか?

「すでに、かなり明確なヒントを出しています。コンセプトカーの命名には明確な意図がありました。『タイプ』という言葉はジャガーにとって非常に重要な意味があります。『ゼロ・ゼロ(00)』という言葉はリセットを示しています。来年前半にはより具体的な情報をお伝えします」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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