スマート・フォーフォー

公開 : 2015.12.16 23:50  更新 : 2021.10.11 08:58

ところで、昔のリア・エンジン車はボディ後端に開閉可能なフードを持つ独立したエンジン・ルームを備えていたものだが、このフォーフォーとトゥインゴの場合は今どきのクルマらしく、エンジン・ルームの上はテールゲートを持つラゲッジ・ルームのフロアになる。

そのエンジンはDOHC直噴3気筒999ccで、ボア・ストロークは先代スマートの72×81.8㎜に近いけれど微妙に異なる、72.2×81.3㎜というもの。本国にはターボ版もあるが、現在日本に導入されているのはNAのみで、71ps/6000rpmと9.3kgm/2850rpmを発生する。組み合わせられる2ペダル・トランスミッションは、先代まではのシングルクラッチ5段から、デュアルクラッチの6段に進化している。

サスペンションはフロントがストラット、リアがダブルチューブ・ド・ディオンという形式で、タイヤはフロントが165/65R15、リアが185/60R15という前後異サイズを採用、ブレーキはディスク/ドラムの組み合わせになる。モデルは標準仕様のパッションと、パノラミック・ルーフなどを備えるプライムの2仕様があるが、車重はいずれも1005㎏とされている。税込みプライスは前者が209万円、後者が229万円。

■どんな感じ?

運転席に収まると、意外と高い着座位置にちょっと違和感を覚えたが、スペースに不足はなく、チルト可能なステアリングを握るドライビング・ポジションも無理なく決まる。そこで、身長170cmの自分の運転席の後ろに座ってみると、ヘッドルームに問題はないが、レッグルームはぎりぎりセーフというところで、膝が前席のバックレストに触れそうになる。それでも、普通サイズの大人が4人乗れる居住スペースは確保されているといっていい。

リア・エンジンの小型車が持つメリットのひとつは小回りが利くことだが、フォーフォーの最小回転半径も4.1mと、FWDの小型車より確実に小さい。それに、フロントが軽いためにステアリングが軽く、軽快なレスポンスを得ることもできる。スマートは電動パワーステアリングを採用していて、それらを適度なレベルにチューンしているという印象だ。

記事に関わった人々

  • 吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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