■「買い」か?

さて、この現代ではユニークなリア・エンジン小型実用車たるスマート・フォーフォー、どんなユーザーに向いているだろうか。まずはそのコンパクトネスからいって、都会の住人に相応しいクルマだと思うし、開発陣もおそらくそこを最大のターゲットに想定したことだろう。

たしかに、前輪駆動車より小回りが利くことも含めて、駐車スペースや道幅に制限のある市街地に居を構えるユーザーに適したクルマなのは間違いないが、直進性を含めて高速での走りにも不満なく適応していたから、想像するより広い用途に使える、意外とオールラウンドなクルマなのかもしれない。

ただし、前項の最後に書いた動力性能、なかでも特に発進直後の加速の鈍さが、少し気になるところだ。こういうことに関する満足度や不満足度のレベルは個人々々によって異なるから何ともいえないが、試乗して僕と同様の印象を持ったセッカチな御仁は、後に日本にも導入されるはずのターボ・モデルの発売を待つ手もあると思う。

いずれにせよ僕は、フォーフォーとトゥインゴ、このユニークなリア・エンジン4座ハッチバックの日本登場を、温かく迎えたい気分ではある。

(文・吉田　匠　写真・佐藤正勝)

スマート・フォーフォー

価格	2,090,000円
全長×全幅×全高	3490×1660×1550mm
ホイールベース	2494mm
乾燥重量	1005kg
エンジン	直列3気筒999cc
最高出力	71ps/6000rpm
最大トルク	9.3kg-m/2850rpm
ギアボックス	6速デュアル・クラッチ
サスペンション	ストラット / ダブルチューブ・ド・ディオン
ブレーキ	ディスク / ドラム
タイヤ	165/65R15 / 185/60R15
燃費(JC08モード)	–