クルマの少ないコーナーをプッシュすると、ターン・イン直後にフロントからのわずかな反力を感じながらスーッとボディを巻きこんでいく感覚がある。あとはアクセル操作でいかようにもでき、一体感や鋭さ、正確性を一気に感じることができる。2倍の価格のスポーツカーに、まったくもって引けをとっていない。

■「買い」か?

歓迎できる進化というよりも、‘余儀なくされた変更’ と捉える方が、ポルシェ718スパイダーを見るうえで、あるいは正しいのかもしれない。

空冷から水冷になったときの不平不満や数々の愚痴。SUVがポルシェからはじめて出たときもそうである。ただ、結果はどうだっただろう? どのモデルだって、われわれを裏切ったことはなかったはずである。

小排気量ターボ化がなされた最新のボクスターが、数々のコンペティターをやっつけることができるかどうかは、比較テストをしてみなければわからない。

ただ根本的には優れたスポーツカーであることは間違いない。お金で買える最高のスポーツ・ロードスターになる可能性を十分に秘めているといってもいいだろう。同時に、BMWやメルセデス・ベンツにもチャンスはある。2ℓ、4気筒、そしてターボ。ほかメーカーと要素としての足並みをそろえたということはつまり、ボクスターを次期Z4やSLCが上回る可能性だってあるのだ。

ポルシェ718ボクスターS

価格	£50,695(803万円)
最高速度	285km/h
0-100km/h加速	4.4秒
燃費	12.4km/ℓ
CO2排出量	184g/km
乾燥重量	1355kg
エンジン	水平対向4気筒2497ccターボ
最高出力	350ps/6500rpm
最大トルク	42.9kg-m/1900-4500rpm
ギアボックス	6速マニュアル