お金をかけないリッチライフ(2) マセラティ3200GT 試乗記

公開 : 2017.10.01 00:00

火を入れた瞬間から強烈

ツインターボV8エンジンは、火を入れた瞬間から強烈だ。スロットルをわずかに踏み込むだけで、まるでウインドタービンのように猛烈に回転を高める。フライバイワイヤー方式のスロットルは馴れるのに少し手間取るほど神経質だ。

激しく踏み込んで4本のエグゾーストから轟音を鳴り響かせたり、びくびくしながら撫でるようにアクセルに触れるという両極端な動作を行き来することになる。その中間の手応えを掴めると、クルマの圧倒的なパフォーマンスに酔いしれるはずだ。

ほかの3台よりも出力は高いが、ストレート以外も得意である。ステアリングはもう少しフィードバックが欲しいが、高速でコーナーに入ると、思い描いたラインを忠実に辿れるのだ。トラクションコントロールをオンにしていても、リアのグリップは徐々に失われてゆくが、限界が近づくとちゃんと感じ取れる。

オートマティックトランスミッションが足を引っ張らないのも喜ばしい。シフトはスムーズで激しいパワーがドライバーの血をたぎらせるが、サスペンションは実に快適だ。ブレンボの巨大なキャリパーの強い制動力も頼もしい。

後期型になると、スロットル特性がやや抑えられてしまう。パンチのある走りと目眩のするような加速を楽しみたければオリジナルモデルを選ぼう。£20,000(260万円)でこんなに最上のコンディションが手に入るなんて、もう盗みに近い。

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