メルセデス・ベンツCLA220 CDI

公開 : 2013.03.08 17:59　　更新 : 2017.05.13 12:52

■どんなクルマ？

メルセデス・ベンツは、スモールカーのレンジを再構築しはじめた。その手始めがBクラスであり、そして最新のAクラスが続く。そして、その流れは、今回新しくラインナップに加えれたCLAへと移行するわけだ。

このCLAは、Aクラスをベースにした4ドア・サルーンで、実質的には現行Cクラスの下に位置するメルセデス・ベンツ最小のサルーンでもある。そしてそのターゲットは、Cクラスよりも若いユーザーを狙っているようだ。

スタイルはCLSのダウンスケール版とも言えるもの。実際、CLAは最新のAクラスとフロント部分においては共通のルックスを持つ。但し、深くカーブしたルーフライン、曲線美とも言えるピラー、深い傾斜のついたリア・スクリーン、スロープしたトランクと長いホイールベースなどはCLA独特のもの。また、クーペのような雰囲気を醸し出すために、フレームレスのドアが与えられている。

そのエアロダイナミクスに優れたボディは、Cd値0.23をマークする。実際のサイズとしては、Cクラスよりも7mmワイドで43mm低いプロポーションを持つ。

なお、このCLAにはラジカルなスタイルのシューティング・ブレークも計画されており、そのモデルは英国では1年後ぐらいに販売が開始される予定だ。

■どんな感じ？

CLAのインテリアは基本的にAクラスを引き継いだもの。従って、ダッシュボード、スイッチギア、トリムなど、そのレイアウトには多くの共通点を見出す事ができる。絶好のドライビング・ポジション、サポートのよいフロント・シート、視認性の高いインストルメント、感触の良いステアリング・ホイール、見やすいインフォテーメント・モニター、そしてクオリティの高い材質などは、CLAの魅力であることは間違いない。

その一方で、後方視界の悪さが目に付く。これは、ワイドなピラー、高いウエストライン、高いフロント・シートバック、そして深みのないリア・ウインドーなどが組み合わさった結果だ。そのため、ブラインド・スポット・モニターとレーン・キーピングをセットににしたオプションのトラッキング・パッケージは必須の装備だろう。

Cクラスよりも長いボディを持つにもかかわらず、リア・シートのスペースは若干不足がち。それでも、トランクはCクラスよりも11ℓ大きい470ℓのブート・スペースが確保されている。

英国には2台のターボ付きエンジンが当初ラインナップされる。ひとつはルノーとの共同開発による活気のない120bhpの1.6ℓガソリン。そしてもうひとつが今回試乗したCLA220 CDIに搭載される168bhpの2.1ℓディーゼルだ。また、今年後半には208bhpの2.0ℓガソリンのCLA250も登場する予定だ。

他のモデルは6速マニュアルまたは7速デュアル・クラッチが組み合わせられるが、CLA220 CDIはデュアル・クラッチのみとなっている。

このデュアル・クラッチは非常に効率的なユニットで、運転も従来のギア・セレクターにかわってステアリングに付けられたパドル・シフトを操作すれば良いというもの。しかし、35.7kg-m/1400-3400rpmというトルクは、積極的なギアシフトを必要としない。フレキシビティ溢れるエンジンは、イージーにドライブしていても充分に早い。さすがに4000rpmを越えたあたりから、そのディーゼル・サウンドが大きくなるのは気になるが。

このCLA220 CDIは前輪駆動だが、多くの電子制御の助けもあり、非常にきれいな走りを見せてくれる。また、高速巡行でも非常に安定している。

標準的なコンフォート・サスペンションとオプションの19インチ・ホイールという組み合わせは、大きなくぼみや減速バンプでは、特に前輪の突き上げが激しい。また、ロードノイズも大きい。

しかし、ダンピングは良く、ボディ・コントロールも素晴らしい。波打つ路面でもハンドリングは一定している。但し、残念なことに、そのハンドリングについては、若干のコミュニケーション不足が感じられた。

■「買い」か？

そのトルクフルなディーゼル・エンジンは非常に好感が持てる。しかし、全体的な評価は、本当にこのクルマを英国の道で走らせてから判断することにする。しかし、現時点では、必要以上に固い足回りが気になる。また、そのパッケージについても、少々失望を感じているのは事実である。

(グレック・ケーブル)