内装　★★★★★★★★★☆

DBSのインテリアを目にした時の印象は、アストン マーティンの他のモデルを見慣れているかどうかで、変わってくるだろう。インテリアに用いられている素材の上質感や、ラグジュアリーな雰囲気には口を挟む余地はないものの、DB11から乗り換えたようなオーナーなら、両車の共通点には気づいてしまうはず。

今回の試乗車には、1995ポンド（29万円）のオプションとなる、トライアキシャルと呼ばれるダイヤモンドキルティング仕上げの、スポーティな形状のシートが装備されていたものの、基本的なレイアウトやコンポーネンツに変わりはない。DBSがDB11よりも8万ポンド（1184万円）も高いことを考えると、やや残念に感じてしまう。

快適でホールド性も高いシートの着座位置は充分に低く、812スーパーファストとは異なり、座面の高さや背もたれの角度などの調整は、すべて電動。もちろんステアリングコラムのチルトとテレスコピックの調整幅も不満はない。ステアリングコラムは、シートを中心にするとやや右側にオフセットしているが、DBSのドライビングポジションは、間違いなく広大なヨーロッパ大陸を横断するのに相応しい、快適性を備えている。

映画「カジノ・ロワイヤル」などでボンドカーも努めた先代のDBS（写真）とは異なり、一応カタチとしては、リアシートも備わっている。その大きさを見れば明らかながら、実際のところ、小さな子供程度しか座ることはできない。実際、リアシート側にはISOFIX（イソフィックス）企画のチャイルドシート固定用金具も準備はされているから、スポーツシートの後ろに幼児を乗せることも可能ではある。しかし、チャイルドシートを乗せると、自ずとフロントシートを前に出し、背もたれも立て気味にしないといけないけれど。

DBSのラゲッジスペースは使いやすい形状で、短期旅行のカバンをしまうのには充分な大きさがある。中くらいの大きさのスーツケースなら、1個か2個は、積めるだろう。開口部自体は広いものの、内側の狭い部分の出っ張りが大きい。

しかし、こんなクルマのオーナーなら、南フランスで長期休暇を楽しむとしても、荷物をクルマに満載するようなことはしないはず。特に心配する必要はないのかもしれない。

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