結論　★★★★★★★★★★

夢中になるスピードとハンドリング。これまでで最良のビッグ・アストン

スーパー・グランドツアラーというカテゴリーには、ミドシップ・レイアウトやハイブリッドを搭載したハイパーカー、ラグジュアリーなSUVなども加わろうかという昨今。アストン マーティンのわれわれの受け止め方にも変化が必要なのかもしれない。しかし、極めて素晴らしい、トラディショナルな魅力を満載したアストン マーティンDBSスーパーレジェーラは、そんな時代の流れに釘を刺す存在だ。

大きく、パワフルでエレガント。フロントにV12エンジンを搭載した、稲妻のようなグランドツアラーこそ、われわれが思い描く、愛すべきアストン マーティンの姿だと思う。息を呑むほど見惚れる佇まいと、豊潤で魅惑的な極上のドライビング体験が、長距離の移動を理想の時間にしてくれる。新しいスタンダードを築き上げたといってもいいだろう。

今後数年間をかけて、ゲイドンのエンジニアはこのクルマを一層完璧なものへと仕上げていくはず。DB11由来のインテリアには、さらに磨きをかけて、テスト走行で指摘したトランスミッションの気になる部分を改善し、さらにレジェーラに相応しいダイエットも必要となるかもしれない。どれも恐らくゲイドンはわかっているだろうし、しかも根本的な部分の完成度は極めて高い。

アストン マーティンDBSスーパーレジェーラは、すでに突出したスーパー・グランドツアラーだと断言できる。完全に息を吹き返した英国の老舗ブランドの、紛うことなきベスト・モデルが誕生した。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

イアン・カラムが手がけた2001年のヴァンキッシュが、わたしとしてはアストン マーティンで一番気に入っているデザインだが、このクルマも相当に良い。現デザイナーのマレク・ライクマンが手がけた中ではベストだし、いかにもアストン マーティンらしい。ブラボー！

サイモン・デイビス

アストン マーティンの文字がトランクリッドに幅広く並ぶ処理が好きになれない。ゲイドンが長年使用してきた羽を広げたシンプルなロゴの方がエレガントだし、今の時代に合っていると思う。

オプション追加のアドバイス

フルレザーのインテリアはオプションとなる。アルカンターラ仕上げの方がDBSの性格には相応しいとは思うが、レザー仕上げはよりハイエンドな、フラッグシップモデルの雰囲気にしてくれる。1995ポンド（29万円）のトライアキシャル・キルティングも悪くないオプションだ。

改善してほしいポイント

・アップル・カープレイとアンドロイド・オートへの対応は必要。
・アクティブ・アンチロールバーの採用で、直進時のスムーズさがさらに向上するはず。
・DBSとDB11とで、インテリアデザインにはもう少し差別化がほしい。

すべての画像をみる　全23枚