SLS AMGとライバルたち AMGはスーパーカーを作ったのか 回顧録

公開 : 2019.01.02 07:10

直接のライバルは存在するか

さらに、たとえばセラミックブレーキやインテリアトリムのアップグレード、より高級なオーディオシステムなど、ほとんどのオーナーが欲しがるであろうオプションをちょっとでも追加しようものなら、あっという間に今回の試乗車のように2900万円に到達してしまう。

その瞬間SLSは、911ターボやV12ヴァンテージとは完全に別のセグメントへと引っ越しを完了し、今回のもう1台の比較対象であるランボルギーニガヤルドLP570-4スーパーレジェーラ(2913.225万円)と変わらない価格になってしまうのである。

となると、ひとつの疑問が浮かんでくる。SLSにもっとも近い、直接のライバルとなり得るクルマは、仮にあるとしたらどれになるのかである。それとも実際には既存のどれとも接点を持たない孤高の存在であり、いかなるクルマも直接的な比較対象とはならないのだろうか?

理論的には、同じフロントエンジン後輪駆動のレイアウトを持つV12ヴァンテージが、おそらくコンセプトとしてはもっとも近いと言えるだろう。

しかし、メルセデスが本当の意味で成功したと主張するには、まず340万円安い911を完全に圧倒していると証明することが必須であり、それに加えてランボルギーニが持っている走りそのもののスリルに拮抗するだけのものを備えていなければなるまい。それを見極めるためにわれわれが選んだのが、ノースヨークシャーの荒地であった。

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