回顧録 フェラーリ3台比較試乗 進化の足跡と最新モデルの実力 前編

公開 : 2019.01.22 10:40  更新 : 2019.01.24 11:39

すべてがスパルタン

たとえばロータス・エリーゼのようなクルマに比べても、この室内は確実によりスパルタンだ。おかげでこのクルマの目的の純粋性は結晶のように明快で、乗れば誰でも一瞬にして理解できるはずだ。

スターターボタンを押して2.9ℓのツインターボV8を始動すると、クルマ全体がエンジンのリズムに呼応して控え目に脈動し始める。ちなみに遮音のための装備は何ひとつない。スロットルの反応は独特のソフトさがあり、走り出すためにエンジンの回転数を上げるには驚くほど深くアクセルペダルを踏み込まねばならない。

クラッチペダルも同じくストロークがたっぷりと深い。そしていざ動き出すと、静止時には据え切りなど不可能だと思えるほど頑として重かったステアリングが突如として一変し、生き生きとフィールを伝えてくるようになる。

走行中はタイヤノイズとトランスミッションの唸りが絶え間なく耳に入ってくる。乗り心地にはリファインと呼べるようなものは何もなく、まるでスケートボードのような硬さである。ブレーキペダルもまた、必要な制動力を得るためには生半可では済まない強力な踏力が必要なほど硬い。さらに5段マニュアルのギアシフトはクリック1回で済む458のデュアルクラッチとは違い、リアルな物理的操作を必要とする。

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