レンジローバー・スポーツ・プロトタイプ

公開 : 2013.05.02 16:21  更新 : 2017.05.29 19:20

■どんなクルマ?

新しいレンジローバー・スポーツは、この秋に発売が予定されている。AUTOCARでは、504bhpを発揮する5.0ℓスーパーチャージャードV8エンジンを搭載するトップ・モデルのプロトタイプをテストする機会に恵まれた。

ランドローバーは、このレンジローバー・スポーツをこれまでに開発されたモデルの中で「最も速く、最も機敏で、最もレスポンスに優れるモデル」と主張している。レンジ・ローバー・スポーツ・プロジェクトのキーフレースは「幅広い能力」。これはニュルブルクリンク・サーキットにおいて速いラップ・タイプを刻むと共に、高いオフロード能力を両立していることを意味する。2フィートのサスペンション・トラベルがあるにもかかわらず、ニュルブルクリンクで驚くべきタイムを叩き出すのだと、ランドローバーのエンジニアは語っていた。

新しいレンジローバー・スポーツは、ほぼゼロから設計された。それは、最近発表されたフラッグシップ、レンジローバーと同じアルミニウム製のアーキテクチャーを持ち、75%のパーツが独自設計だという。アクティブ・アンチロール・システム、リデザインされたフロント・サスペンションの脚、バルブが変更されたステアリング、1秒間に500回以上の読み込みを行うアクティブ・ダンパーを含め、エア・スプリングを備えたサスペンション・システムは完全に再設計されたものとのことだ。

レンジローバー・スポーツの新しい”ダイナミック”・モードは、前モデルと比較してボディ・ロールがかなり抑えられているという。それぞれのホイール毎にブレーキングをかけるトルク・べクタリングの効果もあって、アンダーステアは見事なまでに消されているようだ。また、新しいダイナミック・アクティブ・ロッキング・ディファレンシャルは、以前のモデルよりも30%より素早くなっており、同時にステアリングも今までで最も速いレシオを持っているという。

■どんな感じ?

ノーマル・モードであっても、非常に速くアグレッシブなクルマで、しかも高い能力をもっていることが解る。われわれのテストは、ゲイドンのサーキットの外周2周と、ワインディング・ロードが設えられたインフィールド2周という限られたものであったが、新しいレンジローバー・スポーツが前モデルよりも遥かにシャープなクルマであることは明白に感じられた。

2.3トンのボディながら0-96km/h加速で5秒というタイムをもたらす504bhpのV8スーパーチャージャー・ユニットは強力なパワーの持ち主だが、シャシーもそのパワーに決して負けていないといった印象を受けた。ちなみに,250bhp以上を発揮し0-96km/h加速でも7.1秒をマークするエントリー・レベルのV6ディーゼルは、ディスカバリーのヘビーデューティなT5シャシーをベースに造られているが、その重量は前モデルと比較して420kgも軽いという。

そのV6ディーゼルよりも重いトップ・モデルではあるが、その軽量な構造とサスペンションのアクティブ・システムによって取り扱いは前モデルよりも遥かに容易い。マッシブなパフォーマンスは、モアパワーを望むようなこともなく、ワインディング・ロードにおいてはその大きなボディを速く走らせることができた。

サーキットでは、超クイックなステアリングが、思いがけない驚きであったし、何よりも速く走るための手助けになった。最初の1/4回転でのレスポンスは驚くほどであったし、それから切り込んでいっても優れたボディ・コントロールを味わえた。

サスペンションはダイナミック・モードではやや固めだったが、スポーツ・モードは程度な固さを持ち、スポーツカーのようなドライビングを楽しむことができた。

■「買い」か?

レンジローバー・スポーツは、レンジローバーのよりも堂々としたスタイリングと、イヴォークのようなコクピットを持ったクルマだ。そして、前モデルよりも非常にシャープで、アグレッシブな能力を持っている。決して誇張ではなく、ジャガーF-タイプと同じスポーツ・マインドを感じることだろう。実際、このレンジローバー・スポーツとジャガーF-タイプのシャシー・チューニングは、JLRのシャシー・エキスパートのマイク・クロスによってセッティングされたものだ。

ノーマル・モードであれば、通常に道を通常のペースで走るのに適しており、5+2シーターのシート・アレンジメントを持つ高級なファミリーカーとしての能力を享受できるし、スポーツ・モードにすれば予想以上にハードコアなスポーツカーとしての性格を見せる。それは、ポルシェカイエンGTSですら凌駕するものだ。

実際のところ、ランドローバーは、このレンジローバー・スポーツのニュルブルクリンクにおけるラップ・タイムについて、ミニ・ジョン・クーパー・ワークスGPと同じ8分36秒をマークしたと語っているのだ。

(ヒルトン・ホロウェイ)

レンジローバー・スポーツ・プロトタイプ

価格 £81,500(1,231万円)
最高速度 250km/h
0-100km/h加速 5.0秒
燃費 7.8km/ℓ
CO2排出量 249g/km
乾燥重量 2310kg
エンジン V型8気筒4999ccスーパーチャージャー
最高出力 503bhp
最大トルク 63.7kg-m
ギアボックス 8速オートマティック

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