雪道、どうすれば上手く/楽しく走らせられる? 三菱のSUVで実践 後編

公開 : 2019.03.24 05:50

2つの理由

理由その1、左右両輪の接地荷重が同時に抜けない。サスの伸びストロークは荷重抜け、縮みは荷重増。両輪一緒にうねりに突入すれば抜ける時も増す時も同じ。方向安定が失われやすい状況になってしまう。

理由2、両輪同時に突き上げられた時より重心の上下動を少なくできる。同じ突き上げ負荷でも片輪で受けるのと両輪で受けるのではサスの受ける負担は半分。片輪で受ければサスの縮み量が大幅増で、重それに伴い重心の上下動も減少する。左右輪の位相ずらしの利用と考えてもいいだろう。これで車体の上下動を少なくできる。

こんな「斜めジャンプ」的なことをやったことも利いてか、エクリプスクロスもアウトランダーPHEVもうねり通過は驚くほど滑らかである。こういった小技をしっかりと使えることもさることながら着地した後の姿勢の収まりのよさも秀逸だ。跳ね返りというか揺れ返しがあまりなく、何事もなかった如く安定した直進状態に復帰した。ラリー車みたいだ。

「そんな走り方しないし、スリップそのものが嫌!」と思えば、こんな特性も無用の長物。滑りを積極的に活用こと自体が邪道と考えてもおかしくない。これはASCオフの裏技のようなもので、ASCを入れておけばグリップ最優先で安定最優先制御。

意図的に滑らせるような走り方をすればすぐにASCやAYC、トラコンが介入して方向安定とグリップを回復させる。しかも、しばらくは加速が抑制される。派手な走らせ方はできないが状況に応じた扱いやすさと安心感をもたらす。公道に持ち出せば余程の特殊な状況以外は絶対にASCオンなのだ。

ASCオフでの走行のひとつの理由は冒頭で述べたとおり。もうひとつは安全確保を最優先としない状況でS-AWCが何をしているか知るため。自転公転などと小難しくなったのも、そこに要点の1つがあるからだ。

車両運動性の理論に忠実であるためのS-AWCとシャシー設計であり、だからこそファントゥドライブと安全を矛盾なく融合できたのだ。

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