試乗 BMW M850i コンバーチブル 8シリーズならクーペより推しモデル

公開 : 2019.04.23 10:10

ポテンシャルの80%くらいが丁度いい

グリップ力も高くトラクションも大きいから、クルマの自然なバランスの良さと相まって、高速コーナーでも大きなボディにひるむことなく、自信を持って侵入していける。カーブ入り口での速度が早すぎた場合は、車重が示しているとおり、クーペよりも速くアンダーステア状態になってしまう。だとしても、他のグランドツアラーと比較しても、この8シリーズほど巧みな身のこなしを実現しているクルマは、かなり限られているのではないだろうか。

ソフトトップを閉めれば、外界との隔離感も素晴らしい。英国南部のポーツマスからイタリア北部のポルトフィーノまで、天候を選ばず走らせたいと思えるクルーザーになってくれるだろう。メルセデス・ベンツS560カブリオレの方が、高速道路での乗り心地はBMW8シリーズより一枚上手だし、インテリアの雰囲気も特別感の漂う仕上がりだけれど。

ソフトトップは50km/hまでなら走行中でも開閉が可能で、所要時間は15秒。ルーフを開けても風の巻き込みは上手に制限されており、露出するリアデッキのラインもエレガント。広がる空を感じている限り、若干人工的に感じられるステアリングのフィーリングも、さほど気にならなくなる。

オープン状態で、クルマの持つポテンシャルの80%くらいまでの範囲で、緩いコーナーが続く道を流している状態が8シリーズ・コンバーチブルでのベスト。テンポよくシフトチェンジをしながら、太いトルクを味わいつつ、ゆったり流すのがよく似合う。

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