廃車と引き換え、新車に助成金 スクラップ・インセンティブ 英自動車業界を救った制度

公開 : 2019.06.23 11:50  更新 : 2019.06.23 12:29

懐疑的な政府を説得

当時、各社のCEO、SMMT、そして政府代表のピーター・マンデルソンが参加する会議が開かれた。そこで業界側はドイツで行われたスクラップ・インセンティブを挙げ、同様の制度をはじめてはどうかと提案しました。

英国GMを率いていたビル・パーフィットは当時をこう回想する。「マンデルソンは非常に丁寧でしたが、この提案に最初はあまり好意的ではありませんでした。そこでわたしは、このスランプはサプライヤーにまで大きな影響を与えていることを説明しました。わたしはそのうち6つか7つを担当していましたが、もし一社でも破綻すればわれわれは生産を中断し新たなサプライヤーを探さねばなりません。これには数カ月を要します」

「マンデルソンはこのインセンティブによりキアやヒュンダイなどような安価な輸入車に客足が流れるのではないかと懸念していました。もちろん、彼の言っていることも一理あります。しかし、それでも税収の拡大が期待できるばかりでなく、サプライヤーの倒産も防ぐことにつながるでしょう」

最終的にこの施策はアリスター・ダーリング財務大臣によって発表されたが、その詳細は明かされなかった。結局実施されたのはドイツ政府のそれと比べ小規模なもので、新車購入時に2000ポンド(27万円)の補助金を出すというものだ。ただし、政府が拠出するのはその半額のみで、残りは各メーカーが負担する。

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