レクサスRZ 550e Fスポーツ(2) F1マシンのように鋭く操舵 乗り心地はクラス最高峰も、航続距離はライバルに届かず

公開 : 2026.05.21 18:10

大幅改良を受けたレクサスRZに、550e Fスポーツ登場。ステアリングヨークでF1マシンのように操れ、擬似的な変速も楽しめるものの、コンフォート志向は変わリません。UK編集部が評価します。

擬似変速を楽しめてもコンフォート志向

2025年に大幅なアップデートを受けた、レクサスRZ。新設定された550e Fスポーツは407psあり、普段使いで遅いと感じることはないはず。また、ヒョンデアイオニック5 Nのように、シフトパドルで擬似的な変速を楽しめる。

ただし、ヒョンデのシステムほど高度ではない。変速せずに加速を続けるとリミッターに当たったような制御が入る一方、エンジンの回転上昇に迫る興奮までは得られない。クルマとの関係性を強めてはいるが。

レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)

そもそもRZは、コンフォート志向のクロスオーバー。逞しいトルクで、キビキビと加速できるものの、滑らかなパワーデリバリーにもそれは現れている。ツインモーターのフラッグシップ電動レクサスながら、ポルシェ・マカンへ並ぶ動力性能までは秘めない。

0-100km/h加速は4.4秒が主張されるが、濡れた路面で計測したところ5.6秒がベストだった。充電量が3割ほどになると、パワーが抑えられるようでもある。

F1マシンのように操れる新ステアリング

回生ブレーキは、マニュアル・モード時以外、ステアリングヨーク裏のパドルで調整可能。ワンペダルドライブへ近い強さにできる反面、惰性走行するほど弱くはならない。

新たに獲得した、バイワイヤ制御のステアリングシステムだが、フィードバックは充分。通常のステアリングホイールで操るクルマから乗り換えても、強い違和感はないように思う。むしろ、グリップを握るのに慣れれば、F1マシンのように鋭く操舵できる。

レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)

それでも、入念な調整を経ているはずだが、理想的な一貫性まではあと一歩。一般道から高速道路へ合流した直後は、反応が不自然に鈍く感じられた。特定の速度域で、過敏に思えることもあった。慣れの問題ともいえる範囲だが。

シャシーのバランスは秀抜。タイヤは細めでもグリップ力は高く、非常にニュートラルなコーナリングを叶えている。ステアリングヨークと親しくなれれば、意欲的にカーブへ飛び込んでいける。テールスライドを誘えるほどの、自由度はないとしても。

上質さは一層向上も航続距離はもの足りず

走行中の静寂性は、アップデートで向上。そもそも優れていたが、フロアやリアシートまわりの防音性を高め、従来以上の静かさを叶えている。濡れた路面での車内ノイズは、乾燥した路面でのマカンと同等なほど。パワートレインも、ほぼ無音だ。

また、20インチ・ホイールを履く550e Fスポーツでも、乗り心地はクラス最高峰。大きな段差でも、ゴツンとノイズは聞こえるものの、目立った振動は伴わない。高速道路をしなやかに流れ、速度抑制用のスピードバンプで身構える必要もない。

レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)

高速域での姿勢制御も良好。前後の駆動用モーターを制御し、ピッチングなどボディの傾きを抑え込む効果も、現れているはず。

今回の試乗での電費は、高速道路の巡航で3.5km/kWh。気温が低かったとはいえ、1充電で走れる距離は260km弱となり、同クラスのライバルに届かず。普段使いを想定した平均でも、350km弱に留まった。急速充電は150kWと、速い側にはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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