廃車と引き換え、新車に助成金 スクラップ・インセンティブ 英自動車業界を救った制度

公開 : 2019.06.23 11:50  更新 : 2019.06.23 12:29

安全かつエコなクルマが普及

いくつかのメーカーはこの施策のメーカー負担分をカバーするための値上げをした疑いも持たれている。What Car?誌が2010年に行なった調査ではフォードフィエスタが32.6%もの値上げを行なったことが確認されている。ただし、フォードはこれを為替相場の変動によるものと説明している。

パーフィットはこう説明する。「新車販売における利益はそれほど大きくありません。しかし、低金利ローンや無料整備などの販促をするための余力は残してあります。そこに1000ポンド(14万円)もの新たな支出が加わるとなれば、値上げせざるを得ないメーカーもあるでしょう」

6月だけでも申請は5万件を超え、その成功はすぐに明らかとなった。SMMTやパーフィットは政府に対し施策の延長を求めた。結局のところ10万台ぶんにあたる1億ポンド(137億円)の追加拠出が決定され、廃車対象にバンが加わった。

個々のメーカーによって成果は異なるが、全国で39万2227台にこの制度が適用された。「これにより、英国内を走るクルマが大きく様変わりしました。ひとびとはより安全かつクリーンなクルマに乗るようになったのです」とウィルコックスは語る。もしこの施策がなけれ数百ものディーラーやサプライヤーが倒産に追い込まれたと彼らは説明する。

さらにエヴァリットはこう結論づけた。「スクラップインセンティブにより、ひとびとの消費が促進されました。金融危機とはいえ、大規模な失業があったわけでもなく、ひとびとは単に消費を恐れていただけでした。インセンティブは皆が新車を買う動機付けの役割を果たしたのです」

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