トゥインゴに乗れば特別な力を手にしたよう ルノー:ベスト・マニュファクチャー賞(2) #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.09 18:10

2025年後半から2026年前半で、UK編集部が各カテゴリーのベストを称えるAUTOCARアワード。話題を生んだ優秀なメーカーへ贈られるベスト・マニュファクチャー賞には、ルノーが輝きました。

パリの道路環境に最適なトゥインゴ

ルノーの新CEO、ファブリス・カンボリーブ氏が、トゥインゴ E-テックのキャビンを紹介してくれる。グーグル・ベースのタッチモニター・システムを中心に。「コネクティビティのレベルの高さに驚きます。3倍も高価なモデルより、接続能力は高いんですよ」

プラスティック製部品が硬いままなことも認めるが、「この種類のクルマでは、何より耐久性を優先する必要があります。実際、リアサスペンションもトーションビームで充分です」。トゥインゴ E-テックは、マルチリンクではない。

ルノーの新CEO、ファブリス・カンボリーブ氏と、トゥインゴ E-テック
ルノーの新CEO、ファブリス・カンボリーブ氏と、トゥインゴ E-テック

セーヌ川沿いの道で、機敏なフットワークが披露される。手短に安全を確認すると、間髪入れずに左折。スタッフが追うルノー・セニックを、巻く勢いで通りを縫っていく。

カンボリーブ氏は、パリの交通事情に詳しい。渋滞を避ける目的もあるだろう。それでも、トゥインゴ E-テックがこの街の道路環境に最適なことは間違いなさそうだ。

まるで特別な力を手にしたような気分

「パリはクルマと歩行者、自転車が入り乱れています。カオスのように。小回りが効くことと、電動パワートレインは非常に有効です。このクルマを運転していると、まるで特別な力を手にしたような気になりますよ」

そんな力を掴むには、まずトゥインゴ E-テックを購入する必要がある。ルノーが改革を進める販売手法は、凱旋門から伸びるシャンゼリゼ通りに面した、目的地のフラッグシップ・ディーラーで確かめることができる。

ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリック(欧州仕様)
ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリック(欧州仕様)

だが、ナビ・アプリを確認したカンボリーブ氏は顔をしかめた。渋滞しているからだ。自動車メーカーの決断は即興的にできなくても、彼らしい直感力で目的地は変更された。

エッフェル塔が対岸に見える、トロカデロ広場を1周。トゥインゴ E-テックの可能性へ触れながら、パリ南西部、ビヤンクールにあるルノー本社へ戻るという。「愛されるクルマをデザインしようと、努めているんです」

新技術を実装するなら人間中心の必要がある

「クルマへ新技術やコネクティビティを実装するなら、人間中心である必要があります。バッテリーEVを製造するなら、(企業の)CO2排出規制を守ること以上に、何らかの目的を果たす必要があります」

そして、クルマが特有の魅力を持つことも重要だと続ける。個々のモデルへ、注目して欲しいと話す。「お客様は、ルノーを買うのではありません。ルノー製品の1つを選ぶのです。それぞれの製品は、特定の顧客がターゲットにされる必要があります」

ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリック(欧州仕様)
ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリック(欧州仕様)

「業界は変化が速いですが、2年で急速な成功を収めた好例といえるでしょう。しかし、好調な企業が急変する例は珍しくありません。競合の動向を見極めており、近日発表される製品を予測できる他メーカーもあります。また謙虚さも、忘れてはなりませんね」

カンボリーブ氏の洞察力と先見性が、印象深いパリ観光になった。ルノーの好調は、簡単に導かれたものではない。もちろん、現状維持でもたらされたものでもない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

AUTOCARアワード2026の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事