MGの救世主になり損ねたスポーツカー EX234開発計画 もし実現していたなら

公開 : 2019.06.22 09:50

今でも魅惑のマシン

このMGは、オープントップロードスターとフィックスドヘッドクーペの両方として計画され、スティールのルーフが現存している。ヘッドライニングにはひだ飾りがあり、贅沢なトリムを施し、美しく仕上げられたこのルーフを取りつけると、クルマのスタイルが変化する。視覚的に車長が短くなったように見え、EX234が小型の南欧のサラブレッドのような風格を帯びる。

特定の角度から見ると、フェラーリ365GTをどこか思わせる。12インチのホイールをボラーニワイヤーホイールにすれば、跳ね馬のエンブレムやマセラティの三叉の銛を掲げても不似合いではない。

しかし、ルーフに騙されてはならない。このクルマは普通の意味でのハードトップではない。悲しいことに、このクルマは、ルーフを取りつけたままでは運転できない。このルーフは、取り外しできないフィックスヘッドクーペがどんなスタイルになるか示すために、ピニンファリーナが作ったモックアップで、クルマに固定することはできず、また窓の開口部分もドアガラスの形に合っていない。

こうしたディテールや、換気システムに接続されていないダッシュボードのアイボール型ベントなどが、プロトタイプだけに見られる実験的なオーラをこのクルマに与えている。魅惑的なマシンであり、できればもっと時間を費やしたいクルマだ。

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