新たなスバル・デザインのスタートライン 『ソルテラ』の大幅マイチェンで起きていたこと コの字型ヘッドライトやヘキサゴングリルに縛られない

公開 : 2026.08.22 12:05

昨年10月に行われた『スバル・ソルテラ』の大幅マイナーチェンジでは、当初予定になかったエクステリアも変更されました。そこには、新たなスバル・デザインの取り組みが見えます。内田俊一が担当デザイナーを取材しました。

当初予定になかったエクステリアも変更

昨年10月に行われた『スバルソルテラ』の大幅マイナーチェンジでは、当初予定になかったエクステリアも変更されている。そこから、新たなスバル・デザインの取り組みが見えてきた。

これまでは、水平対向エンジンを想起させるコの字型ヘッドライトや、安定感の象徴となるヘキサゴングリルのようなモチーフ、そして特徴的なフォグランプを使うことが必須要件で、これらにより小さいメーカーながらもスバル独自の共通性や記号性を持たせていた。

スバル・ソルテラのマイチェン前(上)とマイチェン後(下)。だいぶ印象が異なる。
スバル・ソルテラのマイチェン前(上)とマイチェン後(下)。だいぶ印象が異なる。    スバル

しかし、「この3種の神器に近いようなアイテムを、今回一旦フリーにしたんです」と語るのは、デザインを担当した中村真一さん。社内でも大きな議論を生んだというその背景を、こう説明する。

「これらを守ることで、デザインの振り幅の自由度がちょっと狭まってしました。BEVであることや、時代に合った新しい表現を目指したいという会社の中での動きもあり、デザイナーの新たな挑戦とともに、お客様により受け入れてもらえるデザインを再構築しようということです」

しかし、単純に自由にしてはスバルとして見られない懸念がある。さらにスバルは安心と愉しさを提供しているブランドであるから、そのワードに繋がるようなデザインでないとスバルのクルマとして説明もしにくい。そこにはデザインとしてのロジックやストーリーも必要だ。

つまり最初にヘキサゴンという形を決めてそれを守るのではなく、「そのデザインが安心と愉しさという提供価値に繋がり、お客様に感じてもらえるレベルであれば良いと定義づけしました」。

特に安心に関しては、「丈夫そうに見える印象や、長期保有のお客様が多いので、飽きの来ないデザイン」とした。愉しさは個車ごとにターゲットが違うので、それに合わせるとされた。

愉しそうだなと思わせるような表現にフォーカス

それを踏まえ、ソルテラではどうデザインされたのか。まずはヘッドランプから。

「非常に印象の強いアイテムであり投資もかかるので、ソルテラのきょうだい車であるアンチャーテッド、トレイルシーカーと共通にしました。同時に六連星の部分で充実感と立体感をしっかりと出すことで、愉しそうだなと思わせるような表現にフォーカスしています」

ソルテラのデザインを担当した、スバル経営企画本部価値づくり推進室デザイン部主査の中村真一さん。
ソルテラのデザインを担当した、スバル経営企画本部価値づくり推進室デザイン部主査の中村真一さん。    内田俊一

六連星から下の部分は、「3車それぞれのキャラクターを出すことを定めました」と中村さん。

「その部分の表現でワイド感と水平軸は必須ですが、これはデザイナーとして当たり前の表現です。例えば、アスリートやお相撲さんはガンと大地に足を踏みしめる立ち姿でしっかりとした印象を与えていますよね。それはクルマも同じでスタンスが良いと安定感がある。

そこにきちんと繋がるようなデザインをしなければいけませんし、そうすると、ワイド感と水平軸という暗黙の要素を当然スバルも大事にしていかなければいません。『安心』と言っている以上は、そこはぶらしません」

従ってソルテラでも、「水平軸を通すことを大事にして、プレーンな面で戦おうとしました。つまりベーシックな姿としてソルテラは用意しているのです」。

そしてアンチャーテッドは、「より若者へのアプローチ、若々しさを感じさせたいので、両端をキックアップしたデザインにし、レイルシーカーはアウトドアでの堅牢感とか道具感を織り込んだので、ちょっと筋肉質な印象にしています」と説明した。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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