走りに一切のいい訳なし お値打ちオープンカー12選(2) MGミジェット 体格が合えば待っているスリル

公開 : 2026.08.22 17:50

外界に響く排気音と心地良い風に包まれながらのオープンドライブは、比類ない喜びがあります。6000ポンド(約129万円)で常用に耐える、お手頃&魅力的なオープンカー12台をUK編集部が選出しました。

今でも維持しやすい「MGミジェット」

クロームメッキ・バンパーのクラシック・ロードスター、誉れ高きMGミジェットも、英国なら予算内で選べる。25万台以上も売れたことで、発売から65年後の今でも高騰しておらず、維持もしやすい。加えて、走りに一切のいい訳はいらない。

カニ目が特徴的だったオースチンヒーレー・スプライトの進化版といえ、快適性の向上が図られ、より万人受けするスタイリングが与えられていた。初期型は、サイドウインドウを上下するクランクも備わらないという、割り切った仕様だったが。

MGミジェット(1961〜1979年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1979年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

その小排気量エンジンを積む初期型は、コレクターズアイテム化している。今回の条件に合致するのは、1970年代前半からのミジェット。パワフルな1275ccのAシリーズ・エンジンを搭載し、走りの魅力度はまったく劣らない。

ご登場願った車両は、リアのホイールアーチが丸い「ラウンドアーチ」。生産期間が短く、特に人気の年式にある。

体格が合えば刺激的な体験へ興じれる

ミジェットは、ロードスターとして英国車で初めてモノコック構造を採用。ボディ剛性に優れ、乗り心地も素晴らしい。リアアクスルはリーフスプリングが支えるため、操縦性の洗練度が高いわけではないものの、挙動は予想しやすく信頼感も抱きやすい。

ステアリングの反応は鋭く、短いホイールベースを活かした機敏な身のこなしが可能。重心が低く、カーブでのボディロールは小さく、テクニカルなサーキットは得意分野でもある。まるで、BMC時代のミニ・クーパーのように。

MGミジェット(1961〜1979年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1979年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

今回の車両は、エンジンがツイン・ウェーバーキャブ化され、5速MTはトヨタ社製ユニットへ置換済み。ミジェットでは、このような改造が珍しくなく、有用なアップデートは価値を引き上げることになる。

シートポジションは低く、ダッシュボードには小さなメーターが数枚。足元は狭く、身長が180cmを超えるような体格の場合、フロントガラス上端のフレームが目線の中央に来てしまう。しかし、体格さえ合えばスリリングな体験が待っている。

クルマの楽しさを生む一体感や濃密な感覚

このミジェットはパワーアップされているが、クルマの楽しさを生むのは、速さ以上に、一体感や濃密な感覚。馬力を問わず、エンジンは速度上昇の手段に過ぎない。

排気音を空に放ちつつ、落ち着きに欠ける小径なステアリングホイールを握り、風切り音に包まれながらラインを選ぶ。カーブで速度を保つ快感は、他に代えようがない。

MGミジェット(1961〜1979年/英国仕様)
MGミジェット(1961〜1979年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

運転体験が素晴らしいだけでなく、致命的なトラブルに悩まされることも滅多にないはず。思わず見惚れてしまう、魅力的な姿のクラシック・ロードスターを探す時、ミジェットは最高の選択肢の1台だと筆者は思う。

協力:マイク・オーザーズ・クラシックス社

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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