ボルボ マスターメカニックにインタビュー キャブ調整は芸術 EVにも対応

公開 : 2019.08.04 16:50

見事なメンテナンス性 「立ち入り禁止」

このP1800はボルボのヘリテージコレクションの1台であり、最初の車両は、イェーテボリではなく、ジェンセンがウエストブロムウィッチの工場で製作したと聞いて驚かされた。

さらに、そのボディシェルは、グラスゴーのリンウッドにあるプレスド・スチール社が製作したものだったが、残念ながら、その品質は一定の水準に達しておらず、1963年、ボルボは自社生産に切り替えるとともに、モデル名を1800Sへと変更している。

このレストア済みの1800は、新車当時よりも高い品質を達成しているようだ。カーショーはこのクルマの染みひとつないボンネットを開け、その美しく磨き上げられたエアクリーナーへのアクセスの良さに感嘆の声をあげている。

「見事なメンテナンス性です」と彼は言う。「エアクリーナーを取り外せば、キャブレターを分解することができます」

さらに、ディストリビューターを指さして、「キャブレターの調整とフィルター清掃を行う際には、点火タイミングも確認する必要がありますが、キャップを取外して、ベースプレートを回転させれば、進角を早めることも、遅らせることもできるのです」

ラトクリフは感心したようだ。「XC40のような、はるかに洗練されたモデルであっても、不具合が起これば、ジョンの世代のメカニックたちはその原因を突き止めることが出来ます。ECUがすべてを動かしているにもかかわらずです」


1800とは対照的な、プラスチックカバーに覆われたXCのエンジンルームは、まるで「立ち入り禁止」と告げているかのようであり、もし、無理に何かをしようとすれば、非常に需要な接続を不注意にも傷つけてしまいそうだ。

ラトクリフに、こうしたオイル交換くらいしかすることのなさそうな最新エンジンに対して、メンテナンスを行う意味を質問してみた。

「故障診断というのは、お客様だけでなく、他のメカニックをも混乱させてしまうものだと思っています」と彼は答えてくれた。

「時おり発生する不具合というのが、もっとも対応に時間が掛かります。なかには、車両オーナーの誤った使用方法や、理解不足が原因の場合もありますが、エンジンルームのなかに迷い込んで、コネクターを抜いてしまった猫の抜け毛を発見するようなこともあります。さらには、動物が電気ケーブルを齧ったことが原因で、短絡が発生する場合もあるのです」

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