ヒルクライムの相棒 1971年式TVR 2500 保険金で兄から買った 前編

公開 : 2019.08.10 07:50  更新 : 2021.02.17 17:44

ロンドンで自動車通勤を楽しんだTVR 2500

学校を卒業したハンクは、スピットファイア1500と一緒にイタリアへ旅に出た。「友人のMGミジェットと一緒に、ヴェネツィアの北にあるモンテベッルーナまで運転しました。フェラーリF40が3台いて、交差点の信号で並んでスタートダッシュしたのは今でも忘れられません。街の多くのひとが、わたしのスピットファイアに興味を持ってくれました。アルプスの麓、ドロミテの美しい景色の中をドライブした素晴らしい旅行でした。しかし、ブレーキのマスターシリンダーの状態が悪く、山から下ってくるのはヒヤヒヤでしたが」

イングランドまで何とか戻ったスピットファイア。「トランスミッションが壊れ、2速と3速、オーバードライブのみが生きていました。リバースや4速には入らない状態でした。荷物が満載で、タイヤはフェンダーに当たってもいたんです。その後、実家の前に停めておいたスピットファイアが盗まれました。クルマのナンバーはLOT 15R。どうなったのか今もわかっていません」

盗難被害で支払われた保険金は1700ポンド(23万円・当時)。兄のTVR 2500を譲ってもらうにはちょうど良い金額だった。「状態は悪かったのですが、わたしはとても気に入っていて、数年間乗りました。ダークブルー・メタリックの塗装は剥げ、サンルーフからは雨漏り。インテリアもひどく、シートは部分的に裂けていました。それでもそのTVRでブラックヒースからバーモンジーまで通勤しました。スターターの調子が悪く、始動の度にハンマーで叩く必要があったのですが」

「ガールフレンドを載せていて、クルマを押したことは今でも忘れません。彼女は一緒にクルマを押すといってくれましたよ。渋滞中に、ガソリンの温度が上昇してエンジンまで届きにくくなる、パーコレーションに悩まされていました。燃料パイプがエンジンを取り囲むように付いていたんです。エンストで、通勤時間帯にハイドパークの周りを押しました」

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