【試乗 5MT車】コペンGRスポーツ ダイハツとガズーのコラボ、その走り/価格を評価

公開 : 2019.12.31 09:35  更新 : 2021.12.09 23:14

コペンSより柔らかめ?

ブレースによる車体の補強は、間違いなく素晴らしい効果を生んでいる。そのおかげでサスペンションもしっかりと仕事を全うできてるようで、綺麗にしなやかに動いてタイヤを路面に接地させている。

後で聞いたところによればスプリングのレートもダンパーの減衰もコペンSより柔らかめの設定となっているそうだが、それは剛性のアップと剛性バランスの調整が行われた車体があってこそ可能になったもの、なのだ。

コペンGRスポーツのコクピット
コペンGRスポーツのコクピット

スラロームやダブルレーンチェンジでも、コペンGRスポーツはかなり好感の持てる走りを披露してくれた。

コペンSよりもやや大きめな適度なロールを感じさせながらもしっかりとした踏ん張りを見せ、左・右・左・右……という揺り返しが生じがちな局面でも一連の動きが滑らかで解りやすく、収まりもいい。

ステアリングを切ってフロントタイヤが反応してからリアタイヤが追従していく流れがとても自然で、適度な素早さで移行していく。

乗り味は、大人テイスト

いかなるときも接地感はたっぷりで、おまけに荷重のコントロールもしやすく、操作に対して正確に動いてくれる。

ドライバーが自信を持って走ることができるから、攻め込んでいける奥行きだって深い。だから、速い。

ボディ剛性の向上により、ねじれ剛性を高め、安定感のある乗り心地を実現している。
ボディ剛性の向上により、ねじれ剛性を高め、安定感のある乗り心地を実現している。

切れ味はちゃんと鋭いのに、しっとり感があるというか何というか。よりチューニングカーっぽい乗り味の強いコペンSと較べて、こちらは極めて全体バランスのいい、かなり大人っぽいテイストなのだ。

それは街中やちょっとタイトめなワインディングロードを走ってみて、さらにくっきりとして感じられた。

路面の荒れたようなところに差し掛かっても脚が滑らかに伸び縮みしながらやり過ごしてくれて、かなり快適。近頃の軽自動車のカテゴリーに属するクルマの乗り心地がだいぶよくなってることは解っているけれど、その中にあっても上質といえるレベルにあると思う。

何より、操作に対してしなやかに素直に正確に反応してくれるクルマの動きが、いかなる場面でも気持ちよさと楽しさをたっぷりと感じさせてくれるのが素晴らしい。

一般道に躍り出ての試乗時間が短かったこともあるけれど、ああ、もっと乗っていたかったな、と後ろ髪を引かれるような気分でシートから腰を上げたほどだったのだ。

「買い」か?

黄色いナンバーのクルマに乗るわけにはいかない、という見栄の部分を何より大切にしたい人には向かない。お呼びじゃないのだから。またガッタンバリバリという古臭いフィールのいかにもチューニングカー然としたクルマが好きな人にも、ちょっと向かない。好みの方向性とは異なってるのだから。

でも、いいモノはいいと素直に感じられる真っ当な感覚を持った、小さくて楽しいスポーツカーが好きな全ての人に、僕はこのクルマにまずは乗ってみることをオススメしたい。きっとその出来映えの素晴らしさに驚かされるはずだから。

機能性を追求しつつ、上質感を演出する専用アイテムが採用されたインテリア。
機能性を追求しつつ、上質感を演出する専用アイテムが採用されたインテリア。

コペンGRスポーツの価格は、7速スーパーアクティブシフト付きCVTが238万円、5速MTが243万5000円。同じように“軽自動車”の枠でモノゴトを判断するのは間違ってるんじゃないか? と感じられるクルマということで比較するならば、ホンダ系のカスタマイズブランドといえるホンダアクセスのエンジニア達がS660をベースにこだわり抜いて作り上げたS660モデューロXは290万2900円だ。

もちろんベース・モデルからして魅力の方向性は少し異なっているし、コンプリートカーとして作り上げられたクルマ同士でも気持ち良さや楽しさの種類はやや違っているけれど、コペンGRスポーツのリーズナブルさが光って見える。

「買い」か? もちろんだ。

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