【新型ディフェンダーの故郷】JLRスロバキア工場を訪問 新たな時代の幕開け

公開 : 2020.02.22 18:50

新型ディフェンダーの故郷となるJLRのスロバキア・ニトラ工場を訪問しました。新たなテクノロジーが採用されているのはクルマだけでなく、この新しい工場にもさまざまな革新的技術が導入されており、新時代に相応しい生産ラインが実現していたようです。

真のチャレンジ

2016年のディフェンダー生産終了は、まるでひとつの時代が終わりを告げたようだった。

68年間に及んだその生涯で最後の1台がラインオフする瞬間を見守るため、世界中のメディアがランドローバーのソリハル工場に集まるなど、かつてどんなモデルも成し得なかったことだ。

ニトラ工場で実質的な責任者を務めるのはバーミンガム出身のラッセル・レスリーだ。
ニトラ工場で実質的な責任者を務めるのはバーミンガム出身のラッセル・レスリーだ。

その後の4年間には様々な憶測も流れた。

そして、ついに先代のオフロード性能を保ちつつ、オンロードでの快適性も身に付けたとされる完全新設計の新型ディフェンダーが発表されたのであり、このクルマはスロバキアの新工場で生産されることになる。

ニトラにあるこの新工場はディスカバリーの生産開始に伴ってソリハルから移転したものであり、2018年10月に稼働を開始している。

ニトラ工場の実質的な責任者、ラッセル・レスリーはバーミンガム出身のナイスガイであり、ディフェンダーの生産ラインを含め、26年間に渡り世界中のJLR工場で働いた後、ここスロバキアへとやって来た。

ディスカバリーは生産工程が確立されていたため、ニトラへの生産移転は通常よりも簡単だったものの、いままさに真のチャレンジが始まったのだと彼は話す。

「世界中がわれわれに注目しています。ディフェンダーの生産に携われることはこの上ない名誉です」

もちろん、新型が英国で生産されないことを嘆く純粋主義者もいる。

レスリーは、「いまわれわれは世界中に生産拠点を拡げているところです。デザインとエンジニアリングに関しては英国製品であることにこだわっています」と、話している。

「将来モデルへの対応のため、英国にある工場のスペースをチェックしました。その結果、移転が必要だと判断されたのです」

「ニトラの新工場は新たな市場へのアクセスを可能にするとともに、為替の影響を軽減してくれます」

生産能力を確保

ソリハルの約2倍となる18万6000平方メートルもの敷地に新設されたこの工場は、間違いなく地元にも恩恵をもたらしている。

完ぺきに整備された数kmもの道路が、サプライヤーの工場が集中するエリアを抜け、工場へと続いている。

ボディショップだけでも642基のロボットが設置されている。
ボディショップだけでも642基のロボットが設置されている。

ニトラの新工場がもたらした効果はデータが示しており、この地域の失業率は劇的に改善している。

工場では2800名を雇用しているが、自動車工場としては珍しく、そのうち1/3以上を女性が占めている。

各工程は人間工学に基づき設計されており、年齢、性別や体格にかかわらず、全人口の97%のひとびとが対応できるようになっていると言う。

ニトラ工場の年間生産能力は15万台であり、昨年は3万8000台のディスカバリーと、2000台のディフェンダーがこの工場から送り出されている。

JLRでは受注予想を明らかにしていないが、昨年の生産台数が本来の生産能力のわずか1/4に留まっているということを考えれば、新型ディフェンダーに大きな期待が掛かっているということだろう。

レスリーは、「つねに3シフトでの操業を考えて設備を導入しています(現在は2シフト体制だ)。一定の時間当たり生産台数が達成できるようラインを設計する必要があります」と、説明してくれた。

「今後必要になると考えられる生産能力は確保しています」

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