【手に入る内に楽しみたい】フォルクスワーゲン・アップGTI 極小ホットハッチ復活

公開 : 2020.03.15 10:20

シャシー性能を引き出して楽しめる

2018年当時、一般道でシャシーの性能を充分に引き出して楽しめた。それは、2020年でも変わりない。ボディは短く軽量だから、クルマの進行方向を変えるのも自由自在。

今回試乗してみると、サスペンションはわずかに柔らかくなったように感じられる。ボディの上下方向の動きは、少し落ち着きを増した印象だ。だが、英国郊外の国道を走らせていると、相変わらず車内は穏やかさに欠ける。

フォルクスワーゲン・アップGTI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・アップGTI(英国仕様)

標準のアップのようにボディロールやピッチングが目立つわけではない。でも、路面の起伏が目立つ場所で速度を乗せていくと、以前のように活発に跳ねる。ボディロールは抑えきれず、グリップ力も平均より上、くらいだ。

同等サイズのライバル・ホットハッチの方が、より路面に強くしがみつき、機敏さも自然。だがアップGTIは限界領域でもクルマの状態をドライバーがしっかり感じ取れるから、多くの人が考えている以上に、攻め込んだ走りを楽しめる。

搭載する1.0Lの3気筒ターボエンジンは、中回転域でのパワー感に優れ、速く走らせたいという気持ちにさせてくれる。WLTP値へ適合されての再登場だが、元気さを削がれたわけではなかった。

1990年代の小さなロケットマシンのステアリングを握ったことがあるドライバーなら、もっと激しくエンジンが吹け上がるのを期待するかもしれない。フォルクスワーゲンは、デジタル的にも、サウンドの物足りなさを補強しようとは考えなかったようだ。

手に入る今のうちに楽しんでおきたい

ESPシステムを完全にオフにできない仕様なのは、少々残念に感じた。またブレーキペダルを踏むと、すぐにスロットルが絞られる設定も惜しいところ。

もう1つ、6速マニュアルのフィーリングも、少し曖昧なところがある。質感は向上できた部分だと思う。だとしても、いずれもアップ GTIの面白さを阻害するほどではない。

フォルクスワーゲン・アップGTI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・アップGTI(英国仕様)

今後のマイナーチェンジがあるのなら、手を加えたい部分は明らかに残ってはいる。しかし、こんなクルマが手に入る今のうちに、思う存分ドライビングを楽しんで欲しい。おそらく、次のマイナーチェンジはやってこないはずだから。

フォルクスワーゲン・アップGTIは、ドライバーへの魅力に溢れ、価格も充分に訴求力がある。多くのライバル・コンパクトは、トップグレードにも電動化技術を採用していく中で、アップGTIは孤高といえる中身を保持している。

フォルクスワーゲンは今後も、われわれを喜ばせてくれる、正しい道を指し示してくれると期待してしまうデキだ。

フォルクスワーゲン・アップGTIのスペック

価格:1万5895ポンド(227万円)
全長:3600mm
全幅:1645mm
全高:1504mm
最高速度:196km/h
0-100km/h加速:8.8秒
燃費:18.8km/L(WLTP複合)
CO2排出量:120g/km(WLTP複合)
乾燥重量:995kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:115ps/5000-5500rpm
最大トルク:20.4kg-m/2000-3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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