【馴染みある運転感覚が好印象】ボクソール(オペル)・コルサ-e 航続距離336km

公開 : 2020.03.18 10:20

素晴らしく落ち着いた車内空間

回生ブレーキの強さは、最も回生率の高い設定でも、ほどほど。ブレーキペダルの感触に違和感はない。回生ブレーキから通常の摩擦ブレーキへ切り替わったタイミングは明確にわかるが、移り変わりはスムーズ。

電気自動車が初めてのドライバーでも、今まで通り運転できる。ここが重要だと思う。

ボクソール(オペル)・コルサ-e(欧州仕様)
ボクソール(オペル)・コルサ-e(欧州仕様)

今回コルサ-eを試乗したのはドイツ・ベルリンだったが、都市部でも高速道路でも、外の喧騒から切り離された車内空間が得られている。高い速度域でも、車内は素晴らしく落ち着いた雰囲気が漂う。風切り音は最小限で、タイヤの転がり音も、路面を問わず静かだった。

この穏やかな空間に邪魔が入るのは、橋桁や路面の隆起部分を通過した時に、強めの振動が伝わる場面。それでも、よほど大きな路面の剥がれでもない限り、振動はよく丸められている。

強い入力があると、ドスンと大きめの音が聞こえることもあるが、サスペンションが仕事をしっかりしてくれるから車内は平穏。遮音性も充分に高い。

増えた車重を実感するのは、コーナリング時。ステアリングは正確で、重み付けも丁度いいから、ドライバーが不安になることはない。

圧倒的なグリップ力を感じたり、運転に熱中してしまうような、喜びを感じるわけではない。それでも、快適な中にも充分に煮詰められた運転体験は味わえる。ライバルにも少なからず影響を与えるはず。

EV普及を助ける馴染みのある運転感覚

さらにコルサは、華やかなデザインも特徴。シックなプジョーe-208の隣に並ぶと、もう少し活気が欲しくも見えるけれど。

全体の質感は良く、運転席の座面は驚くほど低い位置に調整することもできる。その下にはバッテリーが隠れているはずなのだが。リアシートの空間も十分にあり、荷室容量も267Lと不満はないだろう。

ボクソール(オペル)・コルサ-e(欧州仕様)
ボクソール(オペル)・コルサ-e(欧州仕様)

英国の場合、補助金を引いた後の価格は2万7165ポンド(388万円)。コルサとしては高額に感じるが、7.5時間で満充電にできる、家庭用充電器もセットでの価格となっている。

コルサ-eは、100kWの直流急速充電器にも標準で対応しており、その場合は30分で充電を終わらせられる。ライバルモデルはオプションでの対応となるから、ボクソール(オペル)の決定が清々しい。

コルサ-eは、ホンダEやミニ・エレクトリックなど、走行性能重視のコンパクトEVとは別の仕上がりだとはいえる。純EVを検討している人にとって、走りも確かに重要ではあるが、コルサ-eが持つ馴染みのある運転感覚も、同じくらい重要であるはず。

潜在的なユーザーをEVへと導くには、まだ少しの時間が必要だろう。だが、すでに悪い選択でなくなっていることは確かだ。

ボクソール(オペル)・コルサ-eのスペック

価格:2万7165ポンド(388万円・英国補助金適用後)
全長:4060mm
全幅:1765mm
全高:1435mm
最高速度:130km/h
0-100km/h加速:9.3秒
航続距離:336km(WLTP複合)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1455kg
パワートレイン:ハイブリッド同期モーター
バッテリー:50kWh
最高出力:135ps/3674-1万rpm
最大トルク:26.4kg-m/300-3673rpm
ギアボックス:シングルスピード

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