ステランティス、2030年までに60車種の新型車展開へ 約11兆円投資 ジープ、プジョーなど4ブランドを中核に

公開 : 2026.05.25 11:25

ステランティスが600億ユーロ(約11兆円)規模の新戦略を発表しました。今後5年で新モデルを続々投入し、新プラットフォーム『STLAワン』によりブランド間での共通性を高めることで、コスト削減を目指します。

革新的な5か年計画の概要

ステランティスは、グローバル事業の成長と将来性の確保を目指す600億ユーロ(約11兆円)規模の事業再生計画を発表した。その一環として、2030年までに60車種の新型車と50車種の「大幅な」改良モデルを投入する。

14のブランドを擁するステランティスは5月21日、「FaSTLAne 2030」と名付けた新たな5か年戦略の詳細を明らかにした。その核心には「成長と収益性の加速」が据えられており、すべての主要地域において顧客のニーズに的確に応えるべく、事業のあらゆる基本原則を刷新するという。

ステランティスが新たな将来戦略を発表した
ステランティスが新たな将来戦略を発表した    ステランティス

この取り組みの中心となるのは、コストの大幅削減と収益性の向上であり、各ブランドの運営方法や販売車両に大きな影響を及ぼすことになる。最も重要なのは、投資の約70%をジープ、ラム、プジョーフィアット、および商用車部門プロワン(Pro One)に集中させる方針であることだ。これらのブランドは「特に規模と収益性の成長余地が大きい」という。

ステランティスは、「これらのブランドは各地域で強固な存在感を有しており、新たな共通プラットフォームや技術を先行導入する多地域展開ブランドとなります」と述べている。

新モデルは計110車種

新体制の下、ステランティスは今後3年間で110車種以上(マイナーチェンジを含む)の新型車を投入する予定だ。内訳はEVが29車種、プラグインハイブリッド車(PHEV)およびレンジエクステンダー車が15車種、ハイブリッド車が24車種、内燃機関モデルが39車種となる。

また、ステランティスは先日、他社とのパートナーシップを事業戦略の中核に据えると発表したばかりだ。具体的には、中国とフランスでの生産において東風汽車と提携し、米国市場向けの新型車開発ではジャガーランドローバー(JLR)と提携することになった。

今後5年で新型車、改良モデル含めて110車種を投入する
今後5年で新型車、改良モデル含めて110車種を投入する    ステランティス

これらの発表に先立ち、リープモーターとの合弁事業を拡大し、同社のEVプラットフォームを用いた新型SUV(オペル/ヴォグゾール向け)の開発を進めることを明らかにしている。

プラットフォームの統合

ステランティスの野心的な製品展開を支えるのが新プラットフォーム『STLAワン(STLA One)』だ。これは実質的に、現行のシティ、スモール、ミディアム、ラージ、フレームの各バリエーションに代わる、共通性が高い万能型プラットフォームだ。

STLAワンは、Bセグメント(小型車)からDセグメント(大型SUV、セダン、ステーションワゴン)までの車両をカバーし、多様なパワートレインに対応可能とされる。2027年から市販車への導入を開始し、2035年までに30車種以上で採用予定だ。

『STLAワン』を中心に3つのプラットフォームを展開する(プレゼン資料よりスクリーンショット)
『STLAワン』を中心に3つのプラットフォームを展開する(プレゼン資料よりスクリーンショット)    ステランティス

ステランティスは2030年までに、世界販売台数の50%を3つのグローバルプラットフォームで生産する計画であり、STLAワンがその中核となる。計画では、グループ全体での部品共通化率を70%に引き上げ、開発期間の短縮、サプライヤーへの安定性の提供、生産および研究開発コストの削減を目指す。

開発期間も半分近くにまで短縮

STLAワンには、ソフトウェア基盤『STLAブレイン(STLA Brain)』、ユーザーインターフェース『STLAスマートコックピット(STLA SmartCockpit)』、および独自のステアバイワイヤ技術が統合される見込みだ。

STLAワンの主な特徴としては、コストと重量を削減するセル・トゥ・ボディ方式のバッテリー設計、充電時間を短縮する800V高電圧システム、そしてNMCよりも安価で「重要鉱物への依存度を低減する」とされるLFP正極材の採用拡大が挙げられる。

コアプラットフォームの開発を一元化することで、車両開発期間を現在の平均40か月からわずか24か月へと大幅に短縮する。歴史あるメーカーが、中国のライバル企業の急速な研究開発ペースに追いつこうと競う中、24か月というのは業界の目標基準となりつつある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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