【ひらがなナンバー】「とちぎ」「つくば」「なにわ」「いわき」 漢字ではない深い事情

公開 : 2020.04.06 11:19  更新 : 2021.05.07 18:52

複雑な事情と経緯を持つ「とちぎ」ナンバー

「とちぎ」ナンバーは1999年11月に栃木県佐野自動車検査登録事務所の業務開始と共に登場した。

ナンバーの地名は自動車検査登録事務所の所在地にすることが一般的で(例外あり)、このルールからすれば佐野自動車検査登録事務所管轄のエリアとなる栃木県南部(足利市・栃木市・佐野市・小山市・下都賀郡野木町)は「佐野」ナンバーになるはずだった。

1999年11月に栃木県佐野自動車検査登録事務所の業務開始とともに登場した「とちぎ」ナンバー導入エリア。
1999年11月に栃木県佐野自動車検査登録事務所の業務開始とともに登場した「とちぎ」ナンバー導入エリア。

しかし、それまで「栃木」ナンバーだったエリアが、「佐野」ナンバーになることには当然ながら(佐野市と周辺の一部地域以外は)大反対。栃木→佐野は格下げのイメージなのかもしれない。

また、栃木市においては「栃木市登録の車両なのに佐野ナンバー」という矛盾(?)にも納得いかなかったに違いない。

これらの状況を勘案して「佐野」ではなく「とちぎ」を採用した経緯がある。

ひらがなの「とちぎ」になったのは、「とちぎ」が登場する前に存在していた「栃木」ナンバーと区別するため。

そして、佐野自動車検査登録事務所管轄以外のエリアは、検査登録事務所が宇都宮にあることから「宇都宮」ナンバーとなった。

実に複雑だが、要するに現在栃木県には以下4種のナンバープレートが存在することになる。

「栃」「栃木」ナンバー

1999年11月12日まで栃木県全域

「とちぎ」ナンバー

1999年11月15日以降 佐野エリア

「宇都宮」ナンバー

1999年11月15日以降 佐野エリア以外の栃木陸運支局直轄区域

「那須」ナンバー

2006年10月10日 宇都宮エリアの一部(大田原市・那須塩原市・那須郡那須町)にご当地ナンバーとして登場

「つくば」 ひらがな、3つの理由

4種のひらがなナンバーのうち、もっとも新しいのが2007年2月13日に交付が開始された「つくば」ナンバーである。

いわゆる「ご当地」ナンバーだ。

2007年2月13日に交付が開始された「つくば」ナンバー導入エリア。 出典:つくば市
2007年2月13日に交付が開始された「つくば」ナンバー導入エリア。 出典:つくば市

「つくば」ナンバーはひらがなナンバーで唯一、地方版図柄入りプレートの設定があり、2018年10月から交付されている。

同時期に交付が始まった図柄ナンバー(関東エリア)の中では断トツの人気だそう。

つくば市は1987年11月30日に大穂町、豊里町、桜村、谷田部町が合併してできた市となるが、市名をひらがなにした理由は、
・「筑波」表記では「筑」を「ちく」と誤読される恐れがある。茨城県筑西市(ちくせいし)、福岡県筑後市(ちくごし)など。
・誕生当時、茨城県筑波郡筑波町が存在しており混同を避ける。(1988年1月31日につくば市に編入)
・新設対等合併の場合、一般的に合併メンバーの一部を指す名称は嫌がられる。「筑波」=筑波郡をイメージさせる。

これらの理由で「つくば市」が誕生し、ご当地ナンバーも「つくば」となった。

ナンバーの地名を決める際の条件の1つに、「既存の地域名と類似せず混同を避ける。」という内容もある。

また、そもそも、「筑波」と「つくば」ではイメージされるエリアも異なるため、市名としても広く親しまれてエリアもより広い「つくば」がナンバー地名として採用されたのである。

4つのひらがなナンバーの由来は、「漢字よりも読みやすいから」などという単純な理由ではなかった。

そこには古くからの歴史的な事情や関連する市町村の利害関係諸々含めた仁義なき戦いがあったというわけだ。

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