【進化を続けた伝説の1台】フェラーリ250テスタ・ロッサ ル・マンでの優勝 後編
公開 : 2020.05.24 20:50 更新 : 2020.12.08 11:04
買い物の足となったル・マン・レーサー
1961年以降のシャシー番号0774、フェラーリ250テスタ・ロッサは静かな余生を過ごしてきた。いかに独創的なクルマだったのか、誇示するかのように。
当時のオーナー、フォン・ノイマンはしばらくして、250TRをテキサス州のローズバッド・レーシングチームへ売り渡した。エンジンは降ろされ、1963年にクラッシュしたロータス19のシャシーへと組まれた。

その後チームは解散し、フェラーリ製のV型12気筒エンジンは地元の大学へ寄贈。0774のシャシーはアイルランドに渡り、ベントレー3リッターと共に、英国のフェラーリ・コレクター、アンソニー・バンフォードが買い取った。
彼は250LMのエンジンを0774のシャシーに載せ、走れる状態にすると、コリン・クラブがオーナーとなった。クラブは4年間に渡ってレースに参加。1973年のル・マンのサポート・イベントにも参加している。
オーナーのコリン・クラブは当時、この250テスタ・ロッサを妻が買い物に使っていたことを、自慢気に話したという。スーパーマーケットの駐車場に、ル・マンで優勝したフェラーリが停まっていたのだ。
1977年になると、所有者はポール・パパラルドへと交代。彼はシャシー番号0774に、入手した本来の12気筒エンジンを載せ直した。そして1960年代のマシンとして完全なレストアを仕上げるべく、マラッネロへクルマを届けた。