【2CVとDSの間に生まれた優等生】シトロエンGS 187万台のビッグヒット 後編

公開 : 2020.08.08 16:50  更新 : 2021.03.05 21:42

未来的なDSと、古典的な2CVの間を埋めるべく登場したGS。シトロエンを救うことになったコンパクト・モデルの誕生から50年。初期モデルのピュアなデザインを改めて見ると、知的な印象さすら感じさせます。

もくじ

欲張りすぎないシンプルなデザイン
運転の喜びの大部分を占めるハイドロ
軽快に吹け上がるフラット4
短距離選手ではなく長距離選手
シトロエンGS(1970年〜1979年)のスペック

欲張りすぎないシンプルなデザイン

text:Jon Pressnell(ジョン・プレスネル)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)/Giles Chapman Archive(ジャイルズ・チャップマン・アーカイブ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1970年に発売されたシトロエンGSの力で、シトロエンの年間生産台数は1971年には13万台へと増加。さらに1972年には、6万5000台を上乗せしている。

GSは、すぐにブランドの主力モデルへと躍り出た。販売の好調さは続き、述べ190万台近くを製造。1979年にハッチバックのGSAとして改良を受け、さらに50万台が生み出された。欧州では1986年まで製造が続いた。

シトロエンGS(1970年〜1979年)
シトロエンGS(1970年〜1979年)

1987年にインドネシアで300台のGSAバンが作られたところで、GSは幕を閉じる。販売台数で見ると、概ね1978年までは毎年のように増加傾向にあった。

素晴らしい評価を集めたGSだったが、開発から時期を経ていたGSAでは振るわなかった。1299ccのフラット4に、知的なダッシュボードとインパネのデザインを得ていても、筆者の気持ちを掴むのは初期のGSの方だ。

細いクロームメッキのバンパーに、ハニカムのグリルと質素なテールライト。欲張りすぎていないシンプルなデザインは、控えめな上品さがある。

今回登場を願ったボブ・モルダーの1015ccエンジン・モデルは、1972年製。初代オーナーは、1990年代までは愛用していたが、それから2017年まで納屋で眠らせていたらしい。

「祖父がシトロエンCXに乗っていたのですが、わたしはシトロエンに興味が湧きませんでした」 と話すモルダー。オランダで暮らす彼は、2019年にGSを購入したばかり。

「今までポルシェを好んで乗っていました。ですが、GSのデザインに強く惹かれたんです。タイムレスな美しさがあり、気取った感じがありません。ミドル・クラスらしいモデルです」

運転の喜びの大部分を占めるハイドロ

長年ポルシェを楽しんできたにも関わらず、モルダーはGSのドライビング体験に強い不満を抱いていない。「素晴らしい運転が楽しめます。高回転まで回るボクサー・エンジンは素晴らしい音を聞かせてくれます。スピードを上げるほど、滑らかになるんですよ」

「後期の大きいエンジンは、吹け上がりが良くないと耳にします。一番ハッピーを感じられる速度域は、110km/hくらい。エンジンの回転数は4800rpmを少し超えます。120km/hで走ることもできますが、5000rpmを超えてしまいます」

シトロエンGS(1970年〜1979年)
シトロエンGS(1970年〜1979年)

味わい深いドライビング体験を与える要素が、車高調整もできる油圧エア・サスペンションのハイドロニューマチックだ。「運転をする喜びの、大きな部分を占めます」 とモルダーも認める。

「カーブの続く道でも、アクセルを緩める必要はありません。アンダーステアの予兆もなく、前輪駆動らしく曲がっていきます。わたしを驚かせるコーナリングでした」

「快適で安定しています。横風が強くても、振られることはありません。別に乗っている新しいアウディの方が、横風に対する反応が大きいほどです」

筆者はハイドロニューマチックを載せたCXとの、ほろ苦い思い出がある。控えめな速度域で楽しめる足まわりが、DSを好きにさせる理由でもある。

シトロエンにとっては、悩みのタネでもあった。技術開発へ多額の予算を投じる一方で、内装やボディの製造品質などを削ってハイドロニューマチックの理想を追い求めたのだ。

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