全長4.1mなのに6人乗り! シトロエン、大胆デザインの『ELO』コンセプト初公開 移動式ベースキャンプ

公開 : 2025.12.15 07:05

シトロエンは6人乗りのEVコンセプト『ELO』を発表しました。全長4.1mと小型でありながら、革新的なインテリアデザインにより広く多用途な車内空間を実現。シトロエンの「あるべき姿」を示すとされています。

コンパクトなボディに広々空間

シトロエンは、6人乗りの新型コンセプトカー『ELO』を公開した。コンパクトでありながら、驚くほど広い空間と高い柔軟性の実現を目指している。

ELOという名称は、休息(rEst)、遊び(pLay)、仕事(wOrk)の2文字目をとったもの。全長4.1mと、シトロエンの現行『C3』よりも短いが、最大6人が乗車可能だ。さらに後部座席の広さはSUVの『C5エアクロス』と同等とされる。

ELOコンセプト
ELOコンセプト

シトロエンのグザビエ・シャルドンCEOは、自動車デザインの既成概念に挑戦していく同社の姿勢を表していると述べた。

シャルドン氏は「SUVの登場でMPVは廃れると思われていました」とし、SUVは一般的に「クールで新鮮、若々しい」と認識されていると付け加えた。

今回のELOコンセプトは、SUVやクロスオーバーに代わる選択肢として、よりコンパクトでありながら同等の実用性と広々とした車内空間を実現することを目指したものだという。

「シトロエンと共に生きる喜びを体現した完璧なマニフェストです」

新しいライフスタイルを提案

チーフデザイナーのピエール・ルクレール氏は、伝説的な国民車『2CV』の足跡を辿り、斬新なインテリアコンセプトで「驚くべきライフスタイルを創造する」と語った。

「あらゆる調査から、人々はクルマを第三の生活空間として求めていることがわかっています。自由と同時にプライバシーを望んでいるのです」

ELOコンセプト
ELOコンセプト

「このプロジェクトの目的は、非常に小さなプラットフォームで車内空間を革新するという極めて単純なものでした」

その革新的な要素の1つが、中央に運転席を備えた3×3の斬新なレイアウトだ。

ルクレール氏は、これが都市部での運転に理にかなった形式だと説明した。「中央に座れば、外の視界が良くなります。長距離移動でも利点があり、子供たちは出かける時、ママやパパの隣でドライブしたがるものです」

運転席では、フレーム内部にフォームブロックを配置した独自のサスペンションを備え、外出先で作業できるようにデスクアタッチメントも付属している。一方、助手席は不要時に収納することができる。

フランスのスポーツ用品会社デカトロンが開発に協力し、ELOの後部座席はポップアウト式のキャンプ用家具に着想を得たものとなっている。シート自体は固定されているが、ベース部分は取り外し可能で、折りたたみ式の脚を備えているため車外でも使用できる。

背もたれをフラットに折りたたむと、天井から吊り下げたシングルマットレス2枚を載せる床面になる。このマットレスを支えるフックは、映画鑑賞用のプロジェクタースクリーンを取り付ける際にも使用できる。

フロア側面には電源ソケットと空気ポンプが備わり、スライドドアを開けた状態でも利用可能だ。また、ドアに日除けのオーニングを取り付けることもできる。車両を「ベースキャンプ」として活用することを想定しているのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事