フェラーリ458スペチアーレ

公開 : 2013.11.12 23:00  更新 : 2017.05.29 18:53

■どんなクルマ?

フェラーリ458スペチアーレは、ミッドエンジンのV8フェラーリ史上最速で、最も先進的で、最もファン・トゥ・ドライブなクルマだと、フェラーリが公式にアナウンスしている。もし、あなたがガレージの中にF40を持っているとしたら、このフレーズは、すこしばかり複雑な気持ちだろう。

この458スペチアーレが来年2月に英国のショールームに届けられる時点で、£208,000(3,300万円)というプライス・タグが付けられることになっている。しかし、大げさではなく、その代価を支払っても惜しくない刺激的な1台であることは間違いない。

それは何故か。というのは、458スペチアーレはスタンダードな458イタリアができることはほとんどできる。そして、その上で、プラスされた20%の価格の対価として、より速く、より心地好いサウンドと(面白いことに外側でなくキャビン内部で)、より素早いコーナリングと、より正確な精度を得ることができるからだ。

若干のリデザインはされているが、それでもまだ美しいボディ・スタイルの下は、新しい技術がふんだんに盛り込まれている。主にそれは、ドライバーとクルマとの関係を強化させるためのものだ。事実、この458スペチアーレはフェラーリの中でも偉大な足跡を残すことになる1台であろう。

■どんな感じ?

458スペチアーレの最大の特徴は新たに導入されたSSC、スライド・スリップ・コントロールだろう。ESPシステムがフルに作動し、若干のスライドを許すマネッティーノ・セットアップと少し似ている動作を見せるが、実はこれは458にとって全く新しいセッティングである。言い換えれば、右足でコントロールすることのできる597bhp/9000rpmのパワーを、コーナーの脱出に向かってフルに使えるようにしてくれるシステムということだ。トラクション・コントロールの賢いバージョンに思えるかもしれない。しかし、予想以上に洗練されたシステムなのだ。

ルカ・ディ・モンテゼモーロの言葉を借りるのなら、開発のために多くの時間を費やしたテスト・ドライバー並みの走りを直ぐに味わうことのできる偉大なフェラーリ、ということになる。

実際には、タイヤのスリップ・アングル、ステアリングの操舵角、スロットル・ポジション、エンジン回転数などから、eデフが最も効果的で速いコーナリング・スピードを計算して作動するというもの。ただし、それは予測ではなく、2ミリ・セコンド毎にモニターされる情報によって算出される。レース・モードでは決してフロントおよびリア・ホイールのスリップを許さないセッティングだ。

但し、CTオフ・モードであれば、パワー・オーバー・ステアに持ち込むことが可能。それでも、行き過ぎないようにトルクは滑らかにコントロールされる。そのフィーリングは全く別のクルマをドライブしているというものではなく、甘美なスライド・コントールをしつつコーナーを抜けるといった感覚が保たれる。このシステムは、コーナーの侵入に際してはほとんど何もしない。ブレーキを掛けることもしない。言い換えれば、コーナーのどの部分を頂点として狙うかはドライバー次第だ。しかし、コーナーの頂点に付いたら、ただスロットルを踏めば、最適なトラクションでクルマは立ち上がってくれる。

もし、最終的にスピンを喫するような危険を犯したいのであれば、SSCをオフにすれば良い。しかし、SSCをオンにさえしておけば、フェラーリは大多数のドライバーが実際に速くスリリングなコーナリングが味わえるとコメントしている。

実際にテスト・ドライバーを勤めた元F-1ドライバー、マーク・ジェネによれば、「SSCをオンにしておけば、大部分のコーナーで私と同じスピードで走ることができる。」とコメントしている。

458スペチアーレの4.5ℓV8はノン・ターボ・ユニットだ。14.0:1という超高圧縮比のこのパワー・ユニットは、内部の改良によって597bhpのパワーを持つ。そのフィーリングは、458イタリアのものとは別物という印象だ。至るところで、パワフルでガッツのあるレスポンスを見せる。

フェラーリは458イタリアから458スペチアーレを造り出す際に90kgのダイエットを行った。レース用のバケットシートや、リアのガラス・スクリーンまで、ありとあらゆる部分から “重量”を削りとっていったのだ。

ブレーキ・システムはラ フェラーリからの流用で、ギアボックスは改良され20%速いシフトアップ、40%速いシフトダウンが可能となった。タイヤは専用となるミシュランのパイロットスポーツ・カップ2を履く。また、ドラッグの軽減を目標にエアロダイナミクスも見直されている。

実際に、サーキットであっても一般路上であっても、458イタリアに圧勝できるクルマだ。というよりも458イタリアが過去のモデルのように思えてしまうほどの出来の良さなのだ。

フェラーリはこの458スペチアーレを “エクストリーム・カー”と呼んでいる。その固いスポーツ・シートと4点式のハーネスが必要かどうかは別としても、すべての面で458イタリアに優っている。確かにわれわれがテスト・ドライブした北イタリアの裏道では乗り心地は固かったが、容認できないというものではない。しかも、ダンパー・セッティングを ”パンビー・ロード” にセットしてやれば、突き上げなどは阻止することができたのだった。

■「買い」か?

来年、幸運にも458スペチアーレのオーナーとなる200人の英国人は、心やすまるドライビング・クオリティを求めているわけでな決してない。怖さを感じずに、純粋な速さを求めているといえる。そして、それこそが458スペチアーレの本質なのだ。

確かに電子制御が目一杯入ったシステムではあるのだが、ドライビング自体を純粋を愉しむことができる1台ということができよう。

(スティーブ・サトクリフ)

フェラーリ458スペチアーレ

価格 £208,000(3,300万円)
最高速度 325km/h
0-100km/h加速 3.0秒
燃費 8.5km/ℓ
CO2排出量 275g/km
乾燥重量 1395kg
エンジン V型8気筒4497cc
最高出力 597bhp/9000rpm
最大トルク 55.0kg-m/6000rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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