自動車史に残るフランスの名車 21選 世界を魅了した革新性と美しさ

公開 : 2025.05.24 18:25

プジョー、ルノー、シトロエンなど、フランスが生んだ最高の自動車を振り返り、その革新的な設計や美しいスタイリングに焦点を当てます。高級車だけでなく、普及を目的とした安価な大衆車も数多く存在します。

底知れぬフランス車の魅力を覗いてみよう

フランスは歴史的に、革新的な自動車デザインを数多く生み出してきた。エキゾチックな高級車だけでなく、大衆に普及させることを目的とした安価な乗用車も、魅力的で興味深いものばかりだ。

プジョールノーシトロエン、シムカ、マトラブガッティ、ドライエなど、今回は自動車史に名を残した最高のフランス車を21台、アルファベット順で紹介していきたい。

高級車から大衆車まで、忘れがたいフランスの名車を21台紹介する。
高級車から大衆車まで、忘れがたいフランスの名車を21台紹介する。

アルピーヌA110

今日、スポーツカーとして高く評価されているアルピーヌA110は、1961年に発売された初代A110に多大な影響を受けている。この初代モデルは、グラスファイバー製のボディを採用した先駆的なクーペ、A108の後継車だ。その魅力をさらに広めるために 4シーターのGT4バージョンも生産されたが、アルピーヌの象徴的なモデルとなったのは、流線型の2シーターだった。

発売直後からモータースポーツでも成功を収め、ルノー製のリアエンジンは徐々にパワーアップし、最高出力は140psまで向上した。これにより、ラリーで優れたポテンシャルを発揮したが、限界域では扱いを難しくする要因にもなった。それでも、初代A110は上位モデルのA310と並行して1977年まで生産され、ブラジル、ブルガリア、スペイン、メキシコでも生産が行われ、総生産台数は8139台に達した。

アルピーヌA110
アルピーヌA110

ブガッティ・タイプ35

1924年にタイプ35が発売された当時、エットーレ・ブガッティ氏の作るクルマは、すでにその性能とハンドリングで富裕層やレーサーの間で地位を確立しつつあった。当初は2.0Lの自然吸気直列8気筒エンジンを搭載していたが、レースでの競争が激化すると、スーパーチャージャーを搭載した35Cモデルも登場した。続く35Tは、スーパーチャージャーは搭載していなかったが、2.3Lエンジンを使用。シリーズ最後のモデルは、より大型のエンジンと過給機を搭載した35Bだった。

タイプ35は、生産期間中に2000以上のレースで優勝し、それ以降も数多くの勝利を収めている。750kgの車体に最大140psのパワーを秘めたこのクルマは、高速でハンドリングも優れていた。ブレーキドラムを組み込んだ鋳造合金ホイールにより軽量化を図り、その結果、ほとんどのバージョンにタイプ35独特の8本スポークのホイールが採用されている。

ブガッティ・タイプ35
ブガッティ・タイプ35

シトロエン2CV

アンドレ・シトロエン氏は社名に自身の名を冠したものの、2CVの独特なデザインはピエール・ブーランジェ氏(1885-1950)の考案だ。第二次世界大戦前に開発された初期のプロトタイプは、単灯ヘッドライトと波形ボディを備え、ドイツ占領軍の手に入らないよう納屋に隠されていた。戦後、1948年に量産型2CVが発売されたが、当初の売れ行きは鈍かった。

しかし、2CVの柔らかいサスペンションとシンプルな構造が評価され、シトロエンの英国スラウ工場でも生産が開始された。空冷式フラットツインエンジンは徐々に排気量と出力を増やし、最終的に602cc、最大出力31psに達した。生産は1990年まで続き、380万台の2CVが出荷され、ミニやフォルクスワーゲンビートルと並ぶレジェンドとして確固たる地位を築いた。

シトロエン2CV
シトロエン2CV

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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