【似たクルマでもこんなに違う】ダイハツ・タフトVSスズキ・ハスラーの長所/短所 正反対の販売戦略

公開 : 2020.10.14 12:28  更新 : 2021.10.22 10:14

2019年12月にスズキ・ハスラーが2代目にフルモデルチェンジを行い、2020年6月にはダイハツ・タフトもデビュー。直近3か月の販売を振り返りつつ、それぞれの強みを考えます。販売戦略も正反対です。

堅調に売れるハスラー/伸び悩むタフト

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

日本で一番の自動車売れ筋カテゴリーは、Nボックススペーシア、タントなど、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車だ。

その一方で、SUVタイプの軽自動車も人気を急上昇させている。

ダイハツ・タフト(上)/スズキ・ハスラー(下)
ダイハツ・タフト(上)/スズキハスラー(下)    ダイハツ/スズキ

2019年12月にスズキ・ハスラーが2代目にフルモデルチェンジを行い、2020年6月にはダイハツ・タフトもデビューした。

両車とも全高が1600mmを上まわり、広い室内とSUVの野性的な外観を両立させている。

両車の届け出台数をタフトが登場した後の数か月で見ると、以下のようになる。

タフトvsハスラー 直近の販売状況

タフト ハスラー
2020年7月 6300台 8831台
2020年8月 5292台 5384台
2020年9月 6873台 7757台

ハスラーは2019年12月の発売だから、タフトよりも登場時期が古い。

それでも届け出台数がタフトより多いのは、先代(初代)モデルからの乗り替え需要があるからだ。

先代ハスラーは2013年12月に発表され、2014年には1か月平均で8686台を届け出して人気車になった。

アルト+アルト・ラパンと同等の台数を販売していたので、先代型の保有台数も多い。

スズキの販売店によると「新型ハスラーは、先代型からの乗り替えが目立つ」とのことで、届け出台数も伸びた。

新型ハスラーは、先代型の登場から6年後にフルモデルチェンジされたので、タイミングも良かった。

一方のタフトは、現行型が実質的に初代モデルだから(1970年代に登場したタフトはまったく異なるSUV)、先代型からの乗り替え需要はない。

ダイハツの販売店によると「タフトでは、子育てを終えてタントから乗り替えたり、設計の古くなった現行ムーヴ(登場は2014年)から移るお客様が多い」

「ほかのメーカーから乗り替えるお客様も少なくない」という。それでも従来型から乗り替える顧客がいないので、売れ行きはハスラーを下まわる。

割安な価格で装備充実させたハスラー

タフトとハスラーは、両車ともにSUVと背の高い軽自動車の要素を併せ持つライバル同士だが、機能と特徴は異なる。

まずタフトは装備を充実させた。

タフトに標準装着されるガラスルーフのスカイフィールトップ。
タフトに標準装着されるガラスルーフのスカイフィールトップ。    田村 翔

ガラスルーフのスカイフィールトップを全車に標準装着する。ガラスルーフは6〜8万円でオプション設定されることが多いが、タフトは全車に標準装着して(非装着車を設定しないことで)コスト低減を図った。

さらに価格が最も安いX(135万3000円)にも、スカイフィールトップに加えて、LEDヘッドランプや電動パーキングブレーキまで標準装着した。

その代わり背の高い軽自動車なのにシートアレンジはシンプルだ。後席にはスライド機能が付かず、背もたれを単純に前側へ倒すだけ。

スライド機能がないから、後方に寄せて足元空間を広げたり、前方にセットして荷室面積を広げることはできない。

しかも後席は座り心地が硬い。燃費性能も平均水準に留まる。

ハスラーの特徴はタフトと逆だ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ダイハツ タフトの人気画像